近付く、救いの時
夜明けと共に朝陽の光が差し込み、レイラも起き上がる。
結局、大して眠れなかった。
「レイラ、起きたんだな」
「……目が赤いな。大丈夫か」
どうやら少し宿を離れていたらしいロイドとクラトスが入ってきて、レイラを見やる。レイラの目は赤くなって、少し腫れている。
「大丈夫です。ちょっと、眠れなかったので……」
「レイラ……」
「……無理もない」
ロイドは何か言いたいげに、クラトスはそれで何か察したようにため息をついた。
このまま外に出るわけにもいかない。濡らした布を目にあてる。
そうしていくうちに、他の皆も起き出していく。
「あれ、どうしたの? その目」
「あまり眠れなくって」
「大丈夫なの? 救いの塔に行くのにそんなので」
「そこまでヤワじゃないから」
「無理は禁物よ。救いの塔では何があるか分からないのだから」
「そうさ。それに疲れも溜まってるだろ。アンタは大丈夫と思っても案外そうでもないもんだよ」
このところ野営続きで大した休息がとれていないのにこの様子。ジーニアスとリフィルとしいなのそれぞれの心配の言葉ももっともだ。
「平気だって。ね、コレット」
「…………」
その様子を見ていたコレットの眼差しは不安げなものだった。
ハイマの山の頂上まで到着する。
そこには竜4頭、用意されていた。
「お待ちしておりました。3頭に2人ずつ、残りの1頭に1人がお乗りください」
「私は神子と同じドラゴンに乗る。護衛が……私の役割だからな」
「なら、私が1人で乗ります」
さっさと乗り込んで行ったクラトスとコレットに続き、レイラも1人で竜に乗り込む。
重い羽音と共に竜が飛び立ち、救いの塔へ向かって行った。