取り戻した心
コレットは首飾りを守るように握りしめ、プロネーマに啖呵を切る。その瞳には、強い光がある。
「これはロイドが私にくれた、誕生日のプレゼントなんだから!」
ロイドはコレットにプレゼントの首飾りを渡せずにいた。レイラの知らぬ間に、それはコレットに贈られたのだ。要の紋という形で。
「声が……出た!」
「コレット! 元に戻ったのか!?」
「あれ? みんな……どうしてそんな所に入ってるの?」
ロイドたちの置かれた状況に、コレットは首を傾げる。
「馬鹿な! あんな子供騙しの要の紋でクルシスの輝石が抑えられる訳がない!」
「……へえ〜、やるじゃないの、ロイドくん」
「何ということか……しかし、所詮は粗悪品。長くは保つまい! さあ、とにかく来やれ!」
「っ、離して!」
プロネーマがコレットの腕を取るが、それを無理矢理振り払い突き飛ばした。
が、その勢いのあまり、足元のものにつまずき尻餅をついてしまう。
「……あ」
衝撃でそこから煙が上がり、檻も消えてしまった。どうやらそれが檻の発生装置だったようだ。
「ど、どうしよう〜! 壊しちゃった〜!」
「おお〜! やるなあコレットちゃん。俺さま惚れちゃいそ〜」
「あははははは! それでこそコレットだよね!」
「相変わらずねぇ……」
「ほんと、コレットたら……ふふっ」
「悪夢がよみがえるよ……」
久しぶりに巻き起こったコレットの幸運のドジに歓声を上げる中、1人しいなはこめかみを押さえていた。オサ山道でのことを思えば当然のことか。
「コレット!」
「ロイド! あのね、プレゼントありがとう! 嬉しかったんだけど、ホントに嬉しかったんだけど、あの時はどうにもならなくて」
「いいよ、そんなの」
ロイドとコレット、互いに笑いあった。本当に長らく見ていなかった、2人の心からの笑顔。
「2人とも! 後ろ!」
「小癪な……! 覚悟をし!」
立ち上がったプロネーマが、武器を構えて向かってくる。
「……その御名の元、この穢れた魂に裁きの光を降らせ給え……」
詠唱するコレットの前に立ち、邪魔されないようにする。
「ジャッジメント!」
裁きの光が降り注いでいく。
プロネーマは光が不得手。だが正体を隠している手前、有効な天使術を使えないことがレイラは些かもどかしい。
「サンダーブレード!」
雷の魔術でレイラも援護する。
「獅孔滅龍閃!」
「魔神剣・双牙!」
自分の身の丈もある斧を使う少女、舞うような剣技を使うテセアラの神子。共に戦うのは初めてだが頼りになる。
何より――
「虎牙連斬!」
最後に一緒に戦った時より、ロイドたちも強くなっていた。
「ロイド!」
「ああ、行くぜ!」
レイラが声を掛ければ、それでロイドは心得たか、飛び上がり、
「襲爪雷斬!」
レイラの雷を合わせた斬撃をプロネーマに浴びせた。
「ぐ……こんな……下賎な輩に……」
その攻撃で、プロネーマは倒れた。