海へ……

翌朝、エレカーを貰うべく精霊研究所まで赴いた。
肝心のエレカーは、くちなわがグランテセアラブリッジまで持っていったという。
去り際に、しいながコリンを呼び出した。

「しばらくお別れだ。みんなにお別れを言っておきなよ。……大丈夫、もう変な実験はされないよ」
「コリン、元気だったか? しいなのこと頼むぞ」

研究員の挨拶に、コリンはそっぽ向く。

「ここキライ! ……コリンはしいながいるから寂しくないモン」
「コリン! そんなこと言わないの」
「……さよならっ」

つっけんどんに告げて、コリンは再び消え去る。

「やれやれ。やっぱり嫌われてるなぁ……」

レイラは詳しくは知らないが、コリンはここで生まれ、色々辛い思いをした、ということはしいなからそれとなく聞いていた。
それを考えると無理もないか、と思う。

「エレカーかぁ! 早く乗りてー!」

まだ見ぬエレカーにはしゃぐロイド。

「ロイドくんは呑気だねぇ」
「全くだわ。元々地上を走る乗り物で海を渡るなんて無謀よ」

リフィルの言葉にジーニアスは首を傾げる。

「そう? たらいよりずっと安全そうだけど」
「……そりゃ、たらいよりは、ね……」

レイラもジーニアスに頷く。

「たらい〜? おいおいおい、シルヴァラントじゃたらいで海を渡るのか?」
「……ああ。たらいのことを思い出したら気分が悪くなってきたわ」

みるみるうちにリフィルの顔色が悪くなっていく。

「……少なくとも、普通の手段ではなかったよね」

値段の割にかなり危険だったな、とレイラは独りごちた。

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