1人、歌う 2

アイクは傭兵団の手勢やクリミア王女など一部の者だけを伴い、パルメニー神殿に調査に来ていた。
出迎えてくれたのは司祭ひとりだけ。

「……よし、内部を全て調べたい。一室ずつ案内してくれ」
「……は、はい……あの……それが……」

司祭は何かに怯え、震えていた。
アイクは当然、怪訝に思う。

「神よ、どうか……お許しを……」
「罠か!?」

気づいた時には、デインの傭兵と思わしき者たちに包囲されていた。

「何を嗅ぎつけてやってきたかは知らんが、そんな少数で来たのが運のつきという奴だ! お前たち、生きては帰さんぞ!」
「俺たちは、デインの精鋭を破ってきたんだぞ? 貴様ごときに、遅れはとらん!」
「……随分と自信があるようだが……誰がまともに戦うと言った!?」

傭兵は司祭を引きずり、自らは後ろに、司祭たちを前に移動させる。
盾にしようと、いうのだ。しかも、司祭たちは仲間を人質に取られているらしい。

「汚いことを……許せん! 司祭たちはら無理矢理戦わされているだけだ。できるだけ助けたい……みんな、頼むぞ!」

司祭たちを攻撃せず、傭兵を倒す。存外難しい指示を下されるが、やるしかあるまい。ミリアとて、傭兵の行動が許せない。

「……失礼!」
「ひっ!」

ミリアは立ち塞がる司祭を思いのまま突き飛ばす。軽い打ち身にはなるかもしれないが、化身して襲うよりはいい。
そうして皆、思い思いに司祭を体当たりしてその場からどかしていき、誰も殺さず道を開いていった。

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