歪んだ魔塔 2
塔に配備されたなりそこない達。事前に聞いていたとはいえ、その数、種類の多さに胸のうちから激しい感情がこみ上げてくる。
「こりゃあ、また……鳥、獣、竜と各種豪華に取り揃えたもんだぜ」
「鷹王! あんたよく、そんなことが言え……」
「……待ってろ。俺がすぐ、楽にしてやる……」
「……!」
ティバーンの静かな怒りに、ライは言葉を失う。
「……ティバーンでなくとも、怒りで……体が震えてくる。女神に与えられた……本来在るべき姿を歪めるだなと……こんなこと……許されるわけが……」
「……元に戻せないのなら、せめて私のこの手で……」
ミリアも、気持ちはティバーンやリュシオンと同じ。
ぎり、と歯を食いしばった。
心のうちの感情を抑えながら、出撃する。
あまりに、惨い戦いだ。もはや助からない彼らを解放する。そう、何度も自分に言い聞かせながら、彼らを引き裂いていく。
「!」
不意に、何かを感じて戦いの手が止まる。ミリアが一瞬何か別のものに気を取られたことにティバーンがすぐさま気付く。
「おいミリア、何やってる!」
「今……」
ネサラが、いた気がした。
ネサラの存在を意識した途端に胸が高鳴る。ずっと感じていた不安も、和らぐ。
リアーネはきっと大丈夫。今は目の前の彼らに集中するべきだ。
ひと思いに、化身してなりそこないを討っていった。