陰謀渦巻く 1

クリミアでは各地で反乱の兆しがあるようだ。
その魔の手は辺境にあるオマ村にも届いたが、それはチャップとネフェニーの手で未然に防がれた。彼らは事態を重く見て、エリンシアに報せてきてくれた。
おかげでフェリーレ公が先導者という情報は掴めたが、証拠がない。
その証拠集めにルキノが動き出そうとしているのだが、

『私も行く!』

リアーネが、エリンシアの力になりたいと言い出し、ルキノに同行を申し出た。

「いけません。危険な場所への向かうのですから」
「ほほぅ。では当然この爺めもお供せねばなりますまい。お嬢様の護衛役ですからな」
「隠密活動や情報集めは得意ですから、力になれましょう」
「ニアルチ殿にミリア殿まで……はぁ……」

ルキノは頑なに反対するが、ミリアとしてはクリミアの危機に少しでも力になってやりたいのだ。


「あ、あなたたち……」

出立の前に、共に行く者たちと顔を合わせたのだが、その1人――チャップとネフェニーがオマ村で会い、協力してもらっている盗賊ヘザーの様子がおかしい。

「今まで見たラグズはごっつい虎とかばっかりだったけど、こんな綺麗な子たちもいるのね!!」

ミリアやリアーネやレテを見て目の色を変えた。

「……何なんだ、この人は……?」
「すまんのぅ。ヘザーさんはちょいと変わった人なんじゃけぇ。悪い人ではないんよ」
「……確かに悪い人物ではなさそうだが、変わってる、どころの話じゃないだろう……!?」

女性を見て目を輝かせる女性なんて珍しすぎる。

「よろしく、綺麗なレテさんにミリアさんに、美しいリアーネお姫様!」

まあ、嫌がられるよりは友好的な方がやりやすいといえばやりやすいが……とミリアは無理やり自分を納得させた。

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