陰謀渦巻く 2

ルキノの作戦は、フェリーレ公の屋敷に客として訪れ、油断を誘い尻尾を掴むというもの。

「フェリーレ公ルドベックが間もなく現れます。全て私の指示通りに……いいですね?」
「分かっている」
『任せて!』
「了解です。リアーネ姫も、万全です」

間もなくして、フェリーレ公が応接間へ姿を現す。

「これはルキノ殿……よくぞ我が領地まで参られた……」
「急で申し訳ありません。ラグズのお客様がたにフェリーレの果実の素晴らしさについてお話していたんですけれど……どんなに言を尽くしても、とても伝え切れるものではなくて、それならば現地で本物を味わっていただくのが1番だと考えましたの」
「まさか、そのような! 麗しの貴女のご来訪が迷惑だなどということがありましょうか。いついかなる時でも我が城の門は貴女のために開いておりますぞ」

ルキノとフェリーレ公のやりとりをミリアは口を挟まず傍で聞くのみ。
ルキノの手前ラグズに友好的な態度を取っているが、その内心では嘲りを向けていることを伺うのは難くない。

その夜、リアーネに危険が及ばないようにリアーネと護衛にミリアとニアルチを残し、ルキノたちは証拠探しに向かった。
3人は一足先にクリミア王宮に戻る予定なのだが、

『私も行く』
「リアーネ姫……ルキノからあれほど……」
『気になるんだもの』

こうなったら聞かない、リアーネと共にルキノたちの後を追いかけることになった。
尾行にレテたちは気付いていたようだが、時折こちらの様子を伺うのみでルキノには言わないでいてくれた。

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