陰謀渦巻く 3

「……これに間違いないわ。隠蔽の術が施されているようだけど、この書類は……フェリーレ公の発した命令書に間違いないわ。これを持ち帰り、宮廷会議にて明らかにすれば確かな反乱の証となるはず……!」
「敵も上手く隠したようだが、こちらの方が上手だったということだ。無事、任務を果たせそうでよかったな?」
「ええ。みなさんのお陰です。……ありがとうございました。これで大事になる前にフェリーレ公の野望を潰せるかもしれない……」
「戦いが避けられるナら、モゥディたちも嬉しいぞ!」
「後は、敵に見つからぬよう速やかに脱出を……」

無事任務を終えられることにリアーネが安心したように声を上げる。

『見つかったのね! よかった!』
「お……お嬢様! そんな大きな声を出されては……」
「誰っ!?」

案の定ルキノに聞かれた。

「お三方とも、隠れてないで出てきたらどうです」

レテにも言われたことだし、素直に姿を現す。

「リアーネ姫! ミリア殿! ニアルチ殿! 先にクリミアに戻っている筈のあなた達がどうしてここにいるんですか!?」
「我々を追って来ていた。洞窟に入ったあたりから気付いていたんだが、追い返すわけにもいかないので……そのままにしておいた。いざとなれば、私とモゥディで庇えばいいと思っていたんだが……知らせずにいて、すまなかった」
「ここまで何も無かったから良かったようなものの……なんて無茶をなさるんですか! あなたがたにもしものことがあれば、エリンシア様にどうお詫びすればよいか……本当に……」

案の定、ルキノにこっぴどく叱られてしまった。

「あわわ……」
「すまない、ルキノ……レテもモゥディも、何度もこちらに気にかけてくれて悪かった」
『ごめんなさい、どうしても気になって……』
「……過ぎたことを悔やんでも仕方ありません。こうなったら、姫たちと共に皆で無事に帰れるよう最善の努力をするのみです」

ふと、洞窟内に何者かが来た気配を感じる。レテたちも同様だ。

「どうしました?」
「……クる……」
「敵ですか!?」

あちらにも勘付かれたようだ。

「あまり多い数ではないが、鎧と武器のぶつかる音がする……兵士に見つかったようだな」
「ただでは帰してくれないと、当然のことではあるがな」
「……外に出るための道は一つだけ……」

どうするのか、手は一つしかない。

「……この部屋に閉じ込められてしまっては身動きがとれなくなります。相手の数が多くないなら強行突破しましょう。フェリーレ公謀反の証拠を掴んだ今、もう見つかることを躊躇する必要はありませんから……」

脱出のため、戦いの態勢をとる。暗闇の中ではあまり戦力になれないが、致し方ない。

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