Daisy Bouquet
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 通りの軒先から溢れる白い花を見つけて、ヒナタは瞬く間に心奪われた。
 まだ幾分か、肌寒い日も訪れるけど、気付けばこんなにも、里の花屋には春の色取りが揃えられている。
 これを花束にしたら、どんなに綺麗だろう。



「ヒナタ、大丈夫!?」
「だ、大丈夫……えへへ」

 出入り口の僅かな段差に引っ掛かって、一瞬のうちに姿を消したヒナタが、店番の少女に恥じらいの笑顔を見せる。
 両手の中のものは、しっかりと抱えてあった。まるで何でもなかったように、ヒナタは軽い足取りで春の風に乗る。
 視界の隅に弾む花が優しい従兄の笑みになる。通り過ぎるいつもの風景、見るもの全てが、雨上がりのようにきらきらしていた。


*Daisy Bouquet*/2
(あなたがとなりに もしいてくれたら この胸にも虹がかかるのに)


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