救援活動
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 やはり、あの時──……降り頻る火山灰にも構わず、ネジは活動中の火山に向かって足を走らせていた。
 言い訳など無用。少年をテンテンに託して別れたのはネジだ。忍の任務と災害救助とでは訳が違う。分かりきっていたことだったのに。判断を誤った。現に避難所に帰らなかった彼女がそれを示していた。行き場のない思いが込み上げてネジの足が更に速まる。
 山の内部までも白く透かして、視界の中で滾るマグマが青白くエネルギーを放っている。状況に反して酷く殺風景な線描に人の気配は映らない。未だテンテンの姿を捉えることはできない、だがそれらしき所を探すしかない。
 ネジはやや開けた地点で立ち止まって、ゆっくりと辺りを見渡した。足許から地響きが伝わり頭上を噴石が飛んでいる。落ち着いて、視覚に集中すると周りの噪音が遠退いていく。僅かの綻びも逃さぬように、意識を沈める。
 降り積もった灰の中にネジは何かを見つけた。近づいていくと、横たわったような影に見えたものは灰に覆われて、そこからサンダルを履いた足が覗いている。
「テンテン!」
 駆け寄って直ぐ様灰を払って体を起こす。さらさらと滑り落ちて現れたのは見慣れた紅白の忍服。力の抜けてくたりとしたテンテンの体を、ネジは腕の中に抱く。
 袖や袴の裾がところどころ焼け焦げていた。彼女のいた付近だけ灰が異様に積もっていた。何をした? 何があった──? 
 返答を寄越さない、灰にまみれた蒼白な頬を包む。──まだ温かい。
「テンテン……テンテン!」
 下ろされた睫毛に声を投げつけても、肩を揺らされてもテンテンは反応を見せなかった。
 黒い噴煙は勢いを増していき、新たな火山灰が生まれ、山に降り積もる。
 灰白色の、降り頻る静かな景色の外で、噴火の遠音が響いた。

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