ユーフェミアが亡くなったとき、エヴァニエルの傍には支える騎士が5人いた。だから、彼女はすぐに精神的にも身体的にも安定した。
コーネリアがいなくなったとき、エヴァニエルの傍には支える騎士が5人いた。だから、彼女はそこまで体調を崩すことも無かった。
アルフレッドとバートが亡くなったとき、彼女の傍には支える騎士が3人いた。だから、彼女はゆっくりと精神と体調を戻していった。
そして、いま彼女を支える騎士はクラウディオただ1人。極度の恐怖とデヴィッドとエドガーが亡くなったショックで彼女は体調を崩し、高熱を発し寝込んでいる。その傍にはクラウディオが離れずに彼女の看病を行っている。時折、意識を取り戻すもののすぐに意識を失ってしまう。医者には最悪の場合の覚悟もしていて下さいとまで言われている。元より身体の弱いエヴァニエルには些細な風邪でさえも命を落とす危険もあるのだ。額に浮かぶ汗を拭い、彼女の手を握ることしか出来ない自分を歯痒く思う。
クラウディオの献身な看病と祈りが届いたのか熱は徐々にに引いていき、意識もはっきりとしてきた。身体を起こすことはままならないものの、軽い会話や流動食の食事を取れるまでに回復してきた。
クラウディオの手で粥を口に運ばれるエヴァニエルはそれを時間を掛けて咀嚼し、飲み込む。
「いま世界は・・・?」
「・・・黒の騎士団の発表によるとゼロは死亡したそうです。そして、ブリタニア帝国と手を組む、と」
「・・そう」
再び粥を掬ったスプーンを口に運ばれると、口を開き、またゆっくりと食す。
「それから、コーネリア様が黒の騎士団によって拘束されていたそうです」
「・・・ご無事なの?」
「はい、いまはシュナイゼル殿下と共におられるそうです」
「よか、た」
青白い顔に喜びの表情を浮かべる。クラウディオもエヴァニエルの笑みを見、目を細める。
「お会い・・したい」
「そのようにお伝えしておきます」
にこり、と笑んだエヴァニエルの口元に再びスプーンが運ばれる。
それから数日後、エヴァニエルの寝室にコーネリアの姿があった。コーネリアは弱りきった妹の姿に愕然とする。
「エヴァニエル・・・」
「おね、さま・・・。おかえ、り・・なさい」
「あぁ、ただいま。一人にして済まなかった・・」
「ううん。おねーさまは・・、ユフィの、ために、行かれたんだ、もの」
エヴァニエルの頬にコーネリアの手が滑る。その手に擦り寄り、久しい姉の温もりを感じ取る。
「またお前の傍を離れることになる」
「クラ、ウ、ディオは・・・?」
「お前を守ってもらわねばならんからな」
「私は、だいじょ、ぶ・・だよ」
「駄目だ。クラウディオはお前の傍にいさせる」
コーネリアの強い瞳にエヴァニエルはそれ以上なにも言えなくなった。
「さぁ、お眠り。お前が眠りにつくまでは傍に居れるから」