姫と魔王

ブリタニア帝国領土内の誰も知らないような辺鄙な土地にエヴァニエルはクラウディオと共に居た。シュナイゼルに撃たれたコーネリアが運ばれ、エヴァニエルが養生していた蓬莱島も独裁者となったルルーシュの手が伸び、逃げるように島から抜け出た。抜け出た先で黒の騎士団の残党と落ち合ったコーネリアはエヴァニエルをクラウディオに預け、ルルーシュを撃ちに行った。エヴァニエルはクラウディオに連れられ、もしもの場合を考えて用意されていた別宅へと逃れてきたのだ。




別宅でエヴァニエルはテラスで空を眺めることに時間を費やした。香り豊かな匂いと共にクラディオが紅茶を持って現れた。今の彼の服装は目立つ軍服を脱ぎ、私服を着用している。

「コーネリアお姉さまから、連絡は無いの?」
「はい、残念ながら。あまり頻繁に連絡を入れますと、此方の居場所が分かってしまうのを恐れたためかと・・・」
「そう・・・」

悲しそうに俯いたエヴァニエルは長い睫を瞬かせた。温かな紅茶を口に含み、気持ちを落ち着かせる。

「今日は・・・シュナイゼルお兄さま方の処刑の日・・でしたね」
「・・・はい」
「此処はとても穏やかな場所だから、世界で、そんなことが起こってるなんて、実感が湧かないわ・・・。お姉さまはお兄様を、お助けするの、かしら?」
「コーネリアさまはお優しい方ですから」
「クラウディオ・・・」 
「はい、姫さま」
「敬語・・・になってる」
「あ・・・」

しまった、と顔に出すクラディオにエヴァニエルはクスクスと笑みを零す。この別宅にやって来たときにまずクラウディオと決めたのが敬語を使わない、ということだった。此処には屋敷の管理人をしていた老夫婦以外の使用人はいない。彼らは2人の関係を知っている人間なのでクラウディオがエヴァニエルに対して敬語を使用しなくとも何も思わない。だから、とに頼んだのだ。エヴァニエルのお願いに弱いクラウディオは渋々ながら了承したのだが癖が抜けないのか時折敬語を使用していた。

「もう・・・。あのね、クラウディオ、私は・・・」
「エヴァ?」
「私はね、思うの。きっとルルーシュは・・・、お兄さまたちを殺さないわ」
「え?」
「だって、ルルーシュは・・・優しい・・もの」

だって、貴方はユフィが恋した人だもの。