妹と学校

朝のHR。いつもより少し送れて入ってきた担任は緊張した面持ちで生徒たちに告げた。編入生が来た、と。ざわり、とざわめく生徒たちを宥め、担任はドアに向かって入ってくるように声をかける。そして、入ってきた少女にクラスのざわめきは最高潮に達した。

「え、ユーフェミアさま!?」
「うそ、何で!?」

そう、入ってきたのはこの地の副総督を務める皇女と瓜二つの少女。ざわつく生徒たちを担任が一喝し、少女に自己紹介を促す。

「今日からこのアッシュフォード学園に編入することになりましたエヴァニエル・リ・ブリタニアです。皇女という身分ですが、学校では皆さんと同じ一生徒ととして過ごしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします」

ふわり、と微笑むと男女を問わずに頬を赤らめる生徒が続出した。担任に指示された席に向かうと、隣には驚いた表情の姉の騎士が自分を見上げていた。

「お久しぶりです、スザクさま」
「エヴァニエルさま、何故ここに?」
「アスプルンド伯爵から聞いてないの?」
「アスプルンド伯爵?」
「確か名前はロイドと言ったかしら」
「ロイドさんって伯爵だったんだ・・・・」
「知らなかったの?」
「えぇ、特派は階級とか身分とか関係無いので」
「そう。それより、敬語は無しですよ」
「え・・・」
「だって、クラスメートは敬語を使わないんでしょう?」
「・・うん、分かったよ。その代わり、君も「さま」付けは無しだよ」

案外、あっさりと納得してくれたスザクにエヴァニエルは感謝する。そこへある少女が声をかけてくる。

「わたし、シャーリーって言うの。よろしくね」
「よろしく、シャーリー。私のことはエヴァって呼んでください」
「うん。ねぇ、エヴァってユーフェミアさまとどういう関係なの?」
「ユフィは私の双子の姉なの」
「道理で似てると思った!」
「あら、もう仲良くなってるのね」

シャーリーとエヴァニエルが話しているところへ、生徒会長であるミレイがやってきた。

「生徒会長のミレイ・アッシュフォードよ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
「おじいちゃんから貴方のこと頼まれてるの。身体が弱いから生徒会に入れてくれって」
「そうそう、ウチの学校必ず何かの部活に入らなきゃいけないの」
「それに、スザクくんも生徒会メンバーだから何かあった時に安心できるでしょう?」 

スザクへ振り向くとにこり、と笑った。

「そうですね。スザクも一緒だと安心します」
「なら、生徒会に参加ってことでいいかしら?」
「はい。よろしくお願いします」
「他の生徒会メンバーもこのクラスに集まってるから自己紹介しておいたらいいと思うわ」

そういうとミレイはじゃあね、と手を振り、去っていった。シャーリーやスザクの紹介でエヴァニエルは次々と生徒会役員であるカレンやリヴァル、ニーナ、ルルーシュと挨拶を交わしていった。その後、シャーリーと喋っている姿を見た他の生徒も恐る恐る話しかけて行き、エヴァニエルの周りには人だかりが出来ていた。

少し離れた窓辺でスザクはルルーシュと小声で話していた。

「冷や冷やしたよ。エヴァがルルーシュのこと何か言い出すんじゃないかって」
「大丈夫だよ。エヴァニエルとは会ったことが無いから」
「会ったことがない?」
「あぁ。ユフィやコーネリア姉上とは会ったことはあったんだが、エヴァニエルは身体が弱くて外に出れなかったんだ」
「そうなんだ・・・」
「あぁ。今はましになったようだが、俺がまだブリタニアに居た頃は月の3分の2以上は寝込んでるって聞いたよ」
「そこまで酷かったの?」
「あぁ、ユフィも余り会えないと不貞腐れていたよ。それに、姉上もエヴァニエルに付きっ切りのようなものだったからよくウチの離宮に遊びに来てたんだ」

ルルーシュは瞳を伏せ、その頃のことを思い出す。 母も生きていた。ナナリーの目も足も異常がなかった。エヴァニエルが体調を崩すと決まってユーフェミアはアリエスの離宮にやって来た。よくエヴァがお姉さまを独り占めするの、と零していた。その頃のユーフェミアはどちらかというとエヴァニエルを嫌っていた節がある。3人で遊んでいてもエヴァニエルの体調を気遣うコーネリアに、姉を捕られたと思ったのだろう。けれど、それを言えるはずもない。だから、エヴァニエルが体調を崩し、コーネリアが付きっ切りになるとアリエスの離宮へと逃げ込んできたのだ。

「今ではそんなに身体が弱いとは思えないね」
「あぁ。だが、よく姉上が許したな」
「え、あぁ。エヴァが学校に通うこと?僕もあまり知らないんだ。多分、ユフィの口添えも合ったんだと思うよ」
「覚悟しておけよ、スザク。もしエヴァニエルに何かあったら姉上に殺されるぞ」
「ははは・・。冗談に聞こえない・・」