姉と妹02

空中庭園のある一角に一人の少女が居た。傍に控えているはずのメイドも居ない。外でお茶でも出来るようにと備えられた椅子に腰掛け、テーブルの上に何かを広げていた。

「エヴァ!!」

呼ばれた声に振り向くと、少女と瓜二つの少女が駆けてきた。

「ユフィ・・・」
「もう!1人で居たら危ないと言ってるでしょう」
「だって、気が散るんだもの」 
「お姉さまに言いつけるわよ」
「それは駄目」
「じゃあ、これからは1人で居たら駄目よ」
「ユフィだって1人だわ」
「・・・・」
「・・・・」

2人で顔を見合わせて吹き出す。くすくす、と笑い合う。ユーフェミアはエヴァニエルの向かいの席へと腰を落ち着かせる。

「エヴァ、私貴方に言わなければいけないことがあります」

真面目な顔つきになったユーフェミアに首を傾げつつも続きを促す。

「騎士を決めました」
「!!おめでとう、お姉さまが、推薦してた方々の、中から選んだの?」
「いいえ。貴方も知っている方です」
「私も知ってる?・・・・グラストンナイツ?」
「あら、グラストンナイツの皆さんはエヴァニエルの騎士でしょう?」
「ううん、騎士じゃないよ」 
「そう?でも、グラストンナイツではありません」
「・・・わからない」
「枢木スザクです」

ユーフェミアの口から出た名前に驚き、まじまじと彼女の顔を眺める。その瞳には固い決意が伺えた。

「けれど、スザクさまは、その・・・ナンバーズだよ?お姉さまが、許すはず無いわ」
「お姉さまは何も言いませんでした。けれど、認めては・・・」

俯き、泣きそうになるユーフェミアの頭を撫でてやる。それしか出来ないから。

「でも、きっとお姉さまも、スザクさまのことを、認めてくれる、と思う」
「そうね。スザクと2人で頑張るわ」
「うん、応援する」
 
それで騎士の話は終わり、あとは他愛もないお喋りに花を咲かせた。