他の何を失ったって構わなかった

どうしてだろうか。何故、自分たちは刃を突きつけられているのだろう。


ジノがセシルとビリヤードを楽しんでいるところを名前は備え付けのソファに腰を掛け、紅茶を片手に見守っていた。ビリヤードを楽しむ2人の隣ではロイドがダーツに興じているが見ていて危なっかしい。というか、隣に立つ勇気が持てない。

そこへスザクがやって来てシュナイゼルとコーネリア、カノンの3人もやって来た。そして、スザクがナイトオブラウンズとして、ブリタニア軍人として、言ってはならないことを言った。シュナイゼルにクーデターを提案したのだ。勿論、ジノは反対を叫ぶ。ソファに腰掛け、様子を見守っていた名前も心配そうにジノと兄姉を見やる。


そして、ジノは現在兄の部下の手により拘束され二本の槍の切っ先が向けられている。名前はジノが座る椅子の隣の椅子に腰掛け、不安そうにジノの腕に触れている。

「名前、そう心配しないでおくれ。君の婚約者に手を出すつもりは無いよ」

笑顔で名前に声をかけるシュナイゼルの言葉に素直に頷くことが出来なかった。





それから数刻してからシュナイゼルもコーネリアも席を立ちジノは部屋に軟禁状態となっていた。

「ジノ・・・」
「大丈夫だよ、名前」

片目で心配そうに自分を見る名前を抱き寄せ、そっと頬を撫ぜる。ジノの胸の中で安心したようにジノに寄りかかる。

「大丈夫、大丈夫さ。絶対にあの時みたいなことは起こさない。必ずお前だけは守るよ、名前」