「酷い顔だな」
「…鏡見て自分でも思いました」
シャワールームの備え付けの鏡に映されたのはまるで幽鬼のような顔をしていた。呼び出してしまった事を謝罪するとアーネスト艦長は手振りで気にしてないと告げる。ただ鋭い眼光は健在だ。
「単刀直入にお聞きします。契約更新を白紙に戻せますか?」
「…理由は?」
「………一身上の都合で、と上には伝えてください」
溜息を吐くも艦長は追及をせず了承してくれた。それがどんなに今の私に有難いことか。
「ワルキューレを抜けてどうするつもりだ?ウィンダミアに入国したところでスパイを疑われるだろうに」
「…なにも、考えていません。どこに行くのかも、なにも…」
「…そうか。ただし、次の任務は既に決まっている。ワルキューレ脱退およびケイオス退社はその後になるが…」
「わかりました。きちんと次の任務はこなします。ただ、メンバーやΔ小隊にはこの件は作戦終了後に公開してもらえますか?」
「無論だ」
「では、あと僅かばかり。どうぞよろしくお願いします」
「なまえさん…」
「フレイヤ…大丈夫?」
「私は大丈夫です、けど…なまえさん…」
「知り合いなの?」
「クモクモ単刀直入すぎ…」
ワルキューレの控室に入ると私以外の5人が勢ぞろいしていた。単刀直入に核心を突いてきた美雲に苦笑が漏れる。苦笑とはいえ笑えるとは……。マキナが心配げに名前を呼ぶのに安心させようと笑うが、マキナの顔も他の4人の顔も顰める。上手く笑えていないのね。
「ランラン…」
「………知り合いよ。でも、次の作戦はきちんと遂行させるわ」
「そう、それならいいの」
歌だけを考える美雲はすぐに部屋を去っていくも他の4人は違う。シャワー室に立て籠もったことも気にかけているんだろう。
「大丈夫、大丈夫だから…」
それは最早自分に言い聞かせる言葉だった。
180107