il6 05:41




イルーゾォの増殖は、前回彼が請け負った任務の最中に不覚にも受けたスタンド攻撃によるものと結論された。

当初は体に別段の変化も見られないので、なんの気にもせずに帰ってきたイルーゾォだったが、夜になって事情が変わった。
部屋に篭っていた時の自分の様子は到底話すに忍びないと言って口を開こうとはしなかったが、吐き捨てたところによればもう1人の自分は、体の浮腫ふしゅみたようなのから膨れ上がり、剥がれるようにして生まれたというのだ。

原因が分かったとしても問題の解決には繋がらない。
オリジナルのイルーゾォはヒステリー気味に、標的は確実に殺した筈だと訴えた。

「死んでスタンド能力が消えるのと、喰らった効果が消えるのとでは話が違うだろう」

リゾットは目の前にいる、動揺からそこらを忙しなく歩き回っているイルーゾォと、ソファに座ってまんじりともしないイルーゾォの2人を見てため息をついた。

「妙だな、どういう理屈なんだ?」ホルマジオが横のメローネに小さく尋ねた。
「多分、細胞分裂と同じだと思うぞ。人間一人丸ごと、複製させたんだ」


2人のイルーゾォは身体的には全く同じ人間のようで、同一の記憶を持ち、驚くことにはそのスタンドまでもが複製されていた。

2体目のマン・イン・ザ・ミラーを見て、オリジナルのイルーゾォはイヨイヨ気が変になりそうだと悲鳴を上げた。

「こいつは殺すッ!俺が本物だ、ふざけるな」

彼は突発的に自分へ掴みかかろうとした。
その強行をリゾットが止めた。

「やめろ。頭を冷やせイルーゾォ」

複製のイルーゾォは眉をひそめてその様子を見上げている。
ナイフを袖にやきもきするイルーゾォと、生煮えた殺気とで室内の空気は重い。

この日からアジトにはイルーゾォが一人増えることになった。


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