玖-01

沖田総司side



『今日 千鶴ちゃんの部屋で寝るから。お休み〜』

って言いながら、寝巻きを持って僕の部屋を出て行った香耶さん。
……恨むよ千鶴ちゃん。


ここしばらくは、ずっと僕の部屋で寝起きしていた香耶さんだけど、時々思い出したように千鶴ちゃんの部屋に行くときがあるんだよね。
疑問に思って尋ねてみると、ちょっと意外な答えが返ってきた。

『お馬のときは君と一緒に寝たくないんだ…』

『え、なんで?』

『……だって、匂いが気になるし…それに朝起きて、寝巻きや布団が汚れていたら恥ずかしいもの』

『そうだったんだ。僕は気にしないけどな…』

香耶さんのだったら汚いなんて絶対思わない自信がある。

『でも、香耶さんがそこまで言うなら仕方ないね』

『…ごめんね』

無理強いは出来ないよね。


ってわけで今日は部屋にひとり。あたりまえだけど、誰の気配もない。この部屋ってこんなに静かだったっけ。
僕は寝る支度をして布団に横になった。

「………」

いつまで経っても眠れない。
あったかい香耶さんにくっついて眠りたい。あ、月役なんだから優しくぎゅってして、ね。

「あーあ……」

さみしいな……。

…………。

…………。

………駄目だ。

かばっと飛び起きて布団を出た。
刀も差さず、気配を絶って廊下に出て、足音もなく目的の部屋に行く。
そう。香耶さんたちの部屋。
そっとふすまを開けると、布団を並べて眠る香耶さんと千鶴ちゃんが確認できた。

僕は慎重に畳を踏みしめて、香耶さんの布団の脇に膝を付いて、その布団をそろそろとめくる。
甘い体臭が鼻腔をくすぐった。
月役の最中は、確かに違う匂いも混ざるけど、香耶さんのだし、平気。
彼女の寝乱れた裾と髪をそっと整えて、そばにあった羽織を掛ける。
背中と膝裏に手を差し込み、抱き上げた。
香耶さんはまだ眠ったまま。暖を求めてか、僕の身体に擦り寄ってくる。
僕はそのまま廊下に出てふすまを足でゆっくり閉めて、来たときと同様、気配を殺して自室へと帰った。

部屋に戻ったら、開けっ放しだったふすまも足で閉めて、さっきまでひとりで寝てた布団に、香耶さんの身体を降ろす。香耶さんが眠ってるのを確かめて、僕もいそいそと掛布を直し、同じ布団に潜り込んだ。

あったかくてやわらかい、その身体を抱き寄せれば。
ほら、安心してまどろむことができる。
翌朝、血相を変えた千鶴ちゃんが駆け込んでくるまで、僕は香耶さんを抱きしめたまま、ぐっすり熟睡したのだった。



お題/MJMJ

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