06
沖田総司side
僕には物心ついた頃から、前世の記憶があった。
試衛館。
幕末、新選組。
羅刹。
ただ、記憶は断片的で、なにか物足りなさを感じていた。
特に晩年のことはあまり思い出せなくて。
歴史書にはどれにも、新選組一番組組長の沖田総司は労咳や戊辰戦争で命を落としたと書かれていたけれど、僕にはピンとこなかった。
時々意味不明なことを口走る僕のことを、今世の両親は奇異の目で見た。
そんな両親が離婚したのは、僕が5歳のときだ。僕は母親に預けられたけれど、母はあまり家庭をかえりみる人じゃなかった。
「総司君。うちの道場においでよ」
そんなときだ。ひとりの女の人が僕のもとにやってきて、そう言った。
僕だって見た目は子供でも、中身は大人だ。こんな知らない女においでとか言われても猜疑心が先にたってしまう。
……はずだったけど、僕は間髪入れずうなずいていた。
このひとが僕のことをほんとに心配しているんだってことはわかっていたし、なにより嬉しかったから。
また剣を握ることができる。大事なものを守ることができる。
近藤さんを。仲間を。そして今は思い出せない、特別なひとを……。
「貴女が道場主なの?」
「そうだよ。私が新選組試衛館のあるじ、月神香耶。よろしくね」
……どういうこと?
そこは、近藤さんの場所だ。
頭がつきんと痛くなった。