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クローム髑髏side
「千鶴ちゃん、クロームちゃん、ふたりとも支度はできた?」
「はい!」
千鶴ちゃんに朝顔の柄の浴衣を着せてもらった。
香耶様に見せるのはなんだか恥ずかしくて、ついとっさに蜻蛉模様の浴衣を着た千鶴ちゃんの後ろに隠れてしまった。
「かわいいじゃない。クロームちゃん」
自信もっていいよ、と私の顔を覗き込んだ香耶様は、涼しげな水色の浴衣を身に纏っていて……いつも下ろしたままの髪も上げていて、とても綺麗だった。
香耶様は手首にかけていた巾着の中から何か取り出して、私と千鶴ちゃんに持たせる。
「これは……?」
「プレゼントだよ。開けてみて」
てのひらにおさまるほどの大きさの小箱。包みを丁寧に開けてみると……出てきたのは触るのももったいないくらい綺麗な絵が施された二枚貝で。
それを見た千鶴ちゃんが、驚きに目を見開いて香耶様を仰いだ。
「あ、これ……紅ですか!?」
「そう。骸君と歳三君と平助君と……みんなで選んだんだ。君たちのために」
驚きに固まる私の手に、香耶様はその白い手を添えて、その貝を開けた。
中にはうっすらピンクに輝く紅。
香耶様はそれを右手の小指ですくうように撫で、私の唇にそっと塗った。
「こうやって使うんだよ」
「綺麗! 似合ってるよ、クロームちゃん」
千鶴ちゃんが手鏡を貸してくれた。そこにはいつもよりちょっと大人びておしゃれな自分が映っていた。
「リップブラシも後であげる」
「ありがとうございます、香耶さん」
「香耶様、ありがとう……ございます」
嬉しい……いつか香耶様に、この嬉しい気持ちのお返しが出来たら。