06

月神香耶side



「……香耶」

「え、なに?」

「相手は誰だ」

「んん?」

一君が、この平和な現代の時代では珍しく眉尻をつり上げて、ひっくい声で私を詰問した。


相手って、なんの?


私がたじたじになって首をかしげていると、抱っこしたままのリボーンが、私の腕の中でくくっと忍び笑いを立てる。
困って総司君に目線を向けると、総司君は総司君で開いた口が塞がらないみたいな状態だ。

そんな混沌とした状況もかまわず、リボーンは私の腕からぴょんと飛び降りた。
そして。

「俺はもう行くぞ。じゃあなママン」

「マ……ママン!?」

「はやりそういうことか!」

「ちょ、何言って、」

でっかい爆弾を落としたまま、回収もせずにリボーンは去ってしまったのだった。




リボーンが言い捨てていった言葉を真に受けた少年たちは、顔色を変えて私に詰め寄った。

「だ、誰の子!? 誰が僕の香耶さんと……」

「い、いやあの子は友達で……」

「友達との子!? どこの誰!!」

「違……」

「土方さんに確認する」

「だーっ一君まで! 待って! 話を大きくしないで!」

携帯を鞄から取り出した一君の手に飛びつく。
その行為は勘違いを助長させたようで、一君は私の肩を、総司君には手首をつかまれて、歩道の脇に連れ込まれた。

「いっ…つ」

「!……香耶さんこのアザどうしたの? まさかその相手に、」

「違うっつーの。ひとの話を聞けこら」

おい。どんなサイテー男に暴力振るわれてると想像してるんだこいつらは。
涙目の総司君の額を手刀で叩くと、総司君は青い顔で口をつぐんだ。


「あの子はリボーンだよ。晴れのアルコバレーノ」

「アルコバレーノ……ではマフィアか?」

「そう。このアザはさっき知らん男に絡まれて……で、それをリボーンが助けてくれたの」

「じゃああの子は香耶さんの子供じゃ……ない?」

「そうだよ。だから言ったじゃない。あの子は私の友達。ちょっとリボーンの悪ふざけが過ぎたみたいだね」

そう言うと、総司君は壁際に追い詰めた私を抱きこんだ。
総司君……背のびたな。もうすっかり私より高い。

「よかった……香耶さんは僕だけの香耶さんだよね」

「うーん、それってどうかな……」

「どういう意味?」

「え」

ガッ!と頭を掴まれた。手もでかいな……。

「やっぱり誰かと付き合ってるの?」

「あ、いや……でも今世でまた総司君と結婚するつもりは……」

「ないの!?」

「ないって言うか……」

頭の上の手は後頭部に回って、顔を総司君に近づけられる。
そのわりには総司君の表情は泣き出しそうで。

今度は一君にフォローしてもらおうと思って視線をそらすも、彼の姿はどこにもなく。
て、え……一君、どこ行っちゃったの!? 空気読みすぎだろ戻ってきてー!

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