07
月神香耶side
「……せっかく新しく得た人生なんだから、私以外のひとと一緒になってもいいんだよ」
「僕は……、」
総司君の新緑の瞳が揺れる。
「私は総司君の後にも、別のひととも結婚してる。人並みの経験も幸せもいっぱいもらった。だから」
「香耶さんは、僕のこと……もう好きじゃない? 男として見られない?」
ぐっと顔が近づいた。
「……わからない」
きっと私のなかには、幕末の総司君と今の中学生の総司君は違う器(うつわ)なんだという意識が強くあって。
「二番目の夫が私に言ったんだ。愛情も希望も喪失も、それは永遠のものではなくて。新しく生まれてくるものだから」
だから私は、永遠の時間を生きていられる。
亡くなった総司君を忘れることなんかできなくて。そんな私に、ジョットは新しい熱情を教えてくれた。
「だから、わたしは」
「――だったら」
総司君が私の唇へ、そっと口づけを落とす。
それが遠い記憶のものと同じなのか違うのかさえ、私にはもう分からないのに。
「また、新しい僕を好きにさせてあげる」
「……でも」
「貴女が何回結婚していようと、何人子供がいようとかまうもんか」
もう一度唇が重なる。
「僕は香耶さんじゃないとだめなんだって、思い知らせてあげる」
その切なげな表情に、流されてしまいたくなる。
総司君は、何も言えないでいる私の唇を親指でなぞり、名残惜しむように身体を離した。
私は、ぞくりと背筋が粟立ったことに、自分の汚い女の部分に、気付かなかった振りをして。
彼に新しい人生を歩んで欲しいと思う私は、
総司君に望まぬものを押しつけているのだろうか。
新しい生命。新しい生涯。新しい伴侶。
前世だとか今世だとかに一番こだわっているのは……きっと、不老不死として永久の時を生きる、私なのだろう。