08
ねぇ、どうすればあのひとに伝わるんだろう。こんなに、こんなに、全身が焦げるような想い。
言葉で伝える?
それもいいけど……やっぱり無理。
こんな気持ちを表現する言葉が見つからない。
あのひとを視界に入れて、声を聞いて。それだけで僕の心臓が痛いほど僕に伝えてくるんだ。
あのきらきらと月光を反射する髪は、花のような香りがして。あの青い瞳から零れ落ちる涙は、きっと夢のような味がするんだろう。
欲しい。からだも、こころも、あのひとをかたちづくるもの全部。
僕の心臓をえぐりとって、あなたのせいで僕がどうなってるか、伝えることができたら。
そうしたらあのひとは、僕のことで頭がいっぱいになるだろうか。
……いや、ならないだろう。
彼女は死体に興味を持たない。たくさんの人間を葬ってきたあのひとの手は、いつも生者を守るために差し出されてきたものだから。
あのひとの興味を失ったら、僕はそれこそ生きる意味さえ無くしてしまう。
だから今は、この僕の中にある見えないものの全てを、あなたに預けて。
そうして僕は生きていく。