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月神香耶side
「あはははは!」
「香耶様……、」
爆笑する私をクロームちゃんが困ったように眺める。
民家の塀の上に座り、ぷらぷらと足を揺らしながら眼下を見下ろすと、そこには総司君に瞬殺された道場破りたちの死屍累々とした姿。
その惨状に、ちょっと大人気ないなと思わないでもないけど……。
「いいの……? これで」
「まぁいいよ。全員軽傷だし」
総司君はたまに冷静さを失って、感情のままに行動するきらいがある。
身内とその他。周囲の人間に対する、彼の中にある明確にして単純すぎる線引きは、あの幕末時代に培われた彼自身の防衛本能だ。
現代においてそれはときに、一般人にも、そして仲間にも刃を向ける危険をはらむ。
総司君はリボーン君たちに道場破りの真犯人を教えに道場へと引き返した。
きっと濡れ衣を着せられてる女の子のためだ。
その後姿を見送りながら、私は誰にともなく呟いた。
「みんな成長してるんだね」
嬉しいような、寂しいような。なんて。
なんにせよ任務はこれで完遂。よくがんばったね。
今夜はご馳走にしよう。
骸君たちも呼んで、ね。
※総司くんの師は、近藤勇と香耶さん。