なんで、どうして(sideするり)
母部するりside
「ハァッ、ハァッ、ハァッ」
「血……血をよこせぇぇえええ!!」
「イヤァァアアア!」
あたしは追われていた。
まるでこの世界に来たときのように。
あたしはあの後、沙汰があるまで拘束されることになった。閉じ込められたそこが、すえた臭いのする拷問部屋って分かって、震え上がった。
新選組って、ただかっこよく敵を倒してるだけじゃないんだわ……。
みんなで生きた人間を拷問して、誰かの首を切り落として。
ゲームの世界なんて、とんでもない。これは現実で、あたしはここにいる。
なんにもわかってなかった。
怖い。ここはとても怖いところだったんだ。
あたしは逃げ出した。
するとそこには、ゲームやアニメで見たとおりの化け物……羅刹がいて。
人気のない屋敷の中に、羅刹が放たれていて。
なんで、どうして。わからないまま髪を振り乱して、逃げた。
ここ、西本願寺じゃない。……前川邸だ。
そんなこと、今のあたしには気付く余裕もなくて。
やっと外に、建物から外に出られると思ったときに、羅刹の一人に髪をつかまれた。
「きゃぁあああ!!」
たすけて。
たすけて、月神、さん。
あたしを守って誰かの血に濡れた、あの手を嫌悪した。
生き延びることが出来るよう配慮した厚意を無碍にした。
あのとき、彼女の手を取る、という選択をしていたなら。
そうしたら、きっといまごろは。