06
月神香耶side
メーデーメーデー。
敵の斥候が山を捜索している模様。この月神家が見つかるのも時間の問題と思われます。
どうやら北条から送られたのは風魔君だけで、雑木林で斃れている忍たちは風魔の者ではなく、朝倉が雇ったであろう忍之衆らしい。
「というわけで風魔くん。君はもう帰っていいよ」
「…………!?」
敬助君に有幻覚で作ってもらっていた南京錠を解除し、炎で強化した鋼の柵を開けて、さらに風魔君を拘束していた荒縄・手錠を全部取り去る。
その際、幸村君はぬかりなく愛槍を風魔君に突きつけその行動を警戒し、半兵衛君も羅針盤に手をかけた。
「知ってるかもしれないけれど、ここはもうすぐ朝倉の襲撃にあうらしい。それが分かればこれで君の任務は完遂のはず」
「…………」
「私たちもこれを知ったのは今日のことなんだ。とりあえず怪我しない程度に迎え撃つつもりでいる」
「怪我しない程度にって……」
半兵衛君がひくりと表情を引きつらせる。
まあ簡単に言うようだけど、朝倉に婆娑羅者がいなければたった5人で迎え撃つのも不可能ではない。こちとら歴戦の無双武将がそろってるからね。
無双武将も婆娑羅者も一騎当千の将だ。
むしろ婆娑羅者のいない朝倉より、いま私の目のまえにいる婆娑羅者の風魔君ひとりのほうが厄介な気がする。それを考えると風魔君vsうちの小太郎君の戦いは名勝負だったんじゃないだろうか。見たかったなぁ。
私は幸村君たちに守られながら牢を出る。出たところで敬助君が微妙に複雑な表情で、預かっていた忍刀を風魔君に返した。
風魔君はそんな私たちの様子をつぶさに観察し、何かを言いたそうにしていたけれど、程なくして黒い羽を散らしながら姿を消したのだった。