「ちょっ、不死川さんっ……!」
「うるせぇ」

 不死川さんとの行為はいつもいきなりだ。ご飯を作っている時に求められる事もあるし、寝ている時に求められる事だってあった。今日は稽古場の掃除をしている時だった。こうなると不死川さんを止められる者はいないので、掃除も止む無く中断される事になる。私の背後にいつの間にか回り込んでいた不死川さんに隊服のスカートを捲り上げられる。

「し、不死川さん、今どういう状況なのか分かってますか!?」
「たかが柱稽古中だろ」
「たかがって……!」

 そう、今は柱稽古として訓練をしている最中なのだ。自分は不死川さんの継子として稽古の手伝いをしているのだが、ここの不死川さんの道場にも今現在稽古に来ている隊士が何人もいる。今は稽古が終わって皆休息の時間を取っているが、少し離れた先に人がいるというのに行為に及ぶのは如何なものか。

「……別に嫌ならいいけどよ」

 そう言って彼は私の腕を掴んでいた手を少し緩める。……私は不死川さんのこういう顔に弱い。無理矢理なようでいて決して私が嫌がる事はしない。不器用な彼は他に甘え方を知らない。だから私は拒めないのだ。

「……ちゃんと、掃除が出来るように体力は残させてくださいね」

 遠回しのイエスの言葉を伝えると、不死川さんは私の唇に吸い付いた。いきなりの事に思わず「ん、」と嬌声を上げてしまう。その時空いた唇の隙間から不死川さんの舌がねじ込まれた。

「〜〜っ!」

 そのまま口内を蹂躙される。歯をなぞられ、舌を絡み合わせる。不死川さんは意外にもキスが好きだ。何かを確かめるように不意にキスをしてくる時もある。それすらも可愛いと思ってしまうのは惚れた弱みなのだろう。

「……っぷ、はっ……」
「壁に手ェついとけ」

 堪能し終わったのか、永遠に終わらないと思った長いキスは口を離され終わりを告げられる。彼は肺活量が人並みではないので、キスはそりゃあもう長い。息が持たず気絶した事だってある。私も修行しているので人よりは肺活量がある方だが、もう少し手加減してほしいものだ。
 そう思いながら肩で息をしていれば、後ろを向かされ、そのまま壁に手を付かされる。後ろから胸を不死川さんの大きな掌で掴まれたと思うと、服の上から胸の頂をいじられる。そのもどかしさが逆に私の快感を刺激して、子宮の辺りがきゅんと疼いた。
 隊服を着ながらこういう行為をするのに罪悪感を感じたが、同時に昂奮を覚えてしまう自分もいた。こんなにも私の身体を助平にしたのは不死川さんだ。責任を取ってほしい、と後ろの不死川さんを睨む。どうせ私の威圧感の無い瞳では睨めてないのだろうけど。

「ちゃんと濡れてるな」
「……っは、あ、んっ……」

 不死川さんの指が膣内を掻き乱す。くちゅり、と卑猥な音が響いていやらしい事をしているのだとより思い知らされた。濡れているかの軽い確認のために突っ込まれた指は呆気なく体内から抜かれ、思わず「あ、」と残念がる声が出た。

「んな残念がらなくてもよぉ、直ぐに欲しいのくれてやるよ」

 楽しそうに笑うと、彼は私の秘部に己のものをあてがう。彼のものは硬くて熱を持っているのが見なくても分かった。

「へばんじゃねぇぞっ……!」
「……っ!」

 そう言うと、私の膣内に挿入された彼のもので、下から思い切り突かれる。身体ごと持っていかれそうだった。子宮がきゅうと疼くような、とめどない快感が私を襲う。汗と汗で濡れた肌同士がぶつかって音を立てる。意識を必死に保たないと直ぐに絶頂に達しそうだった。私は拳を強く握って何とか耐えようとする。

「強く握んな。痕つくだろ」

 握った両手の上に不死川さんの手が覆い被さる。強く握られた私の手の平を解くように自分の指と私の指を絡ませた。不死川さんの手は傷だらけでごつごつとして硬い。不死川さんが男の人だというのを嫌でも思い知らされた。そんなの知っている。とうに知っている筈なのに。それなのに私の身体は反応してしまい、疼いた膣は彼のものを締め付けた。

「〜っ!……声、我慢しろ」
「〜〜〜っや、あっ!」

 一層と強く突かれ、私は思わず声を出してしまう。こんなの、声を出すなというのは無茶である。どくりと熱いものがお腹の中に注ぎ込まれた。一気に訪れた快感に、私の身体は思わず仰け反る。力を無くした私の肢体は、為す術もなく不死川さんの方へ凭れ掛かった。そのまま彼に抱き締められる。

 何でそんな悲しそうな顔をしているのだろう。私は丈夫だから、酷くしたって平気なのに。それなのにも関わらず不死川さんは壊れ物を扱うかのように優しく私に触れる。ほんと、不器用な人。彼の肩に頭を乗せながら、私はくすりと笑った。

「そうだ、近所の方からおはぎを頂いたんです。不死川さんと食べたいと思って食べるの我慢してたんですよ。よろしければ一緒に食べませんか?」

 そう聞くと不死川さんはゆっくりと頷いた。その顔が何となく嬉しそうだったから、ついつい私も顔を綻ばせてしまう。

 どうかこんなにも優しい不死川さんに暖かい未来が訪れますように。そして出来れば、その未来に私がいれば良いなと願った。