瞬く星をみた

*オルーニィとED5主人公(性別不問/一人称私)


 私がオルーニィを「救済」したのは単なる気まぐれだった。
 元々、そういういきものだった。人類に試練を与え、時には救済する。それは気まぐれに行われるもので深い意味があるわけではない。
 その行為が場合によっては社会で罪に問われるようなものだったりするのだが私には関係のないことだ。
 本来、私のように力をセーブし己を偽ってまで人類の営みに溶け込もうとする同胞は少ない。私も同胞からは変な奴だと思われていることだろう。そも、同胞は大抵話が通じる連中ではないし派手にやらかしていることも多いので此方としても極力関わりたくはないのだが。
 仕事で使い潰され、疲弊し、このままでは壊れてしまうだろうという人を。その時偶然自分の視線の先にいたからという理由で掬い上げた。

 気まぐれで救済した相手と再会したとき、まさかその人が今では私を信仰する教団に所属しているなど夢にも思わなかったが面白い。
 オルーニィのことは個人的にとても気に入っている。目の前で食事をしている相手こそが自らの信仰対象であると気付かず熱心に教団に勧誘してくる姿も、マスターに幼少期の話を暴露されて余裕を失っている姿も——すべて愛らしい。
 敢えて人類に擬態して不自由な生活を送っているのだ。簡単に正体を見破られてはつまらない。人類よりももっと上の視点を持ち、人の営みに関わることはなく、試練を与える種という意味では私は彼らにとって正しく神と言える存在なのだろうから。



 オルーニィに誘われるまま、教団に身を置くことになった私はさていつオルーニィに全てを打ち明けようかと迷っていた。
 私が教団に害なす存在ではないと証明する為か近頃のオルーニィは私の過去の経歴を必死に調べている様子。どれだけ漁ったところで「以前の経歴」などひとつも出てこないだろう。
 個人的には経歴不明の同胞として振る舞うことに心地よさを感じている。許されるのならずっとこのままでも良いとさえ思う。だが、他でもないオルーニィ自身がこのままでいることを許してはくれないだろう。

「オルーニィ、君に私のすべてを受け入れる覚悟はあるかい?」
「……は? どういう意味ですか」
「言葉通りの意味だよ。君にその覚悟があるのならば、私は君の望むままに振る舞おう」
「ワタクシの望むままに……ですか? いえ、まずアナタのその意味深な振る舞いをやめていただきたいのですが……そういう言動が怪しまれる原因ですからね!」
「これは性分だからね、諦めてほしい」

 曖昧な笑みを浮かべる私に「そういうところですよ」なんて呆れたように言い放つオルーニィもまた可愛らしいなと思ってしまう。
 殻を脱ぎ捨てて本来の姿を見せた時にオルーニィがどんな反応をしてくれるのか。向けられる感情は今まで以上の崇拝か、それとも畏怖か。どんな感情を抱いたとしても変わらず私のことを信仰してくれるなら——これ以上ない喜びに満たされることだろう。