嫉妬

 父さんがギムレーの器となって母さんやかつて仲間だった人達を殺めたのはどれくらい前だっただろうか。
 数日前だったような気もするし、十数年が経過したような気もする。軍師ルフレの娘マークはあの日、確かに死んだ。

 遠くで微かに聞こえる懐かしい父さんの声。
 私の頭を撫でてくれて、戦術を教えてくれたあの頃の父さん。この世界を救うために異界からやってきたという。
 異界の父さんはギムレーの器ではないのか、まだギムレーが覚醒していないだけなのか、それともこの世界では成し得なかったけれどギムレーを封印してしまったのか分からない。
 ただ異界の私はきっと今でも父さんからの愛情を受けて育っている。そう思うとイライラした。
 我ながら醜いとは思うけれど、同じ「マーク」なのに恐らく私には二度と与えられないそれを彼女は持っている。そのことにひどく嫉妬している。

「……っ」

 異界の存在とはいえ、私に父さんを殺すことは出来ない。彼の愛情を受けるのは異界のマークで、自分ではないというのに。