*ヒューレス前提
戦争が終わって暫く。
エーデルガルトは相変わらず忙しそうにしているし彼女に仕える宮内卿、ヒューベルトはフォドラの闇ともいうべき組織の調査、討伐の為に留守にすることも多い。
ベレスもまた、ヒューベルトと共に人知れず闇に蠢く者を討伐する日々を送っていたのだが。
「ねぇ、師。師はヒューベルトのことをどう思っているの?」
「ヒューベルト?」
ベレスにとってエーデルガルトもヒューベルトもかつての教え子で、大切な仲間である。
帝国軍を引き連れたエーデルガルトが聖墓を暴き、大司教であるレアに敵意を向けたあの日――本来なら教団に協力し帝国を倒さねばならないのだろうけれど、エーデルガルトの手を取った。
彼女の行為が許されぬものであったとしても、教師として教え子に剣を向ける選択が出来なかったのが一番の理由だった。
黒鷲遊撃軍としての戦いは過酷なものであったけれど、その選択を悔いたことはない。
あの瞬間、エーデルガルトやヒューベルトの力になりたいと本心から思ったのだ。
だから今でも二人のことは大切に思っているし守りたいとも思っている。しかし何故そんなことを聞くのだろう。エーデルガルトの意図が読めず首を傾げる。
「最近のヒューベルト、よく師のことを話しているもの」
「ヒューベルトが?」
それは意外だな、と思わず呟く。
ヒューベルトと仲が悪い……とは思わないが、自分のことを主に話しているとも思っていなかった。どんな内容なのかは怖くて聞けないが。
「私としてはヒューベルトが師と結婚してくれたら安心なのだけれど」
「どうして突然そんな話になるんだ、エル」
「お互いに好意があるのは見ていれば分かるわ」
ヒューベルトのことが好きなのか、と問われたら否定はしない。
しかしそれが恋心なのかと言われると自分でもよくわからない。
教師と生徒の関係だった頃はお世辞にも良好な関係を築けていたとは言えないし、今もヒューベルトと話すことと言えば政治の話や闇に蠢く者に関することが殆どだ。
正直、恋愛感情を抱いている異性に対する態度ではない、と思う。
「師だってヒューベルトのことを悪く思っているわけではないのでしょう?」
「それは……まあ」
「結局、師とヒューベルトの意思次第ではあるけれど二人が結婚するなら私としても嬉しいわ」
「結婚、か……」
あまり想像は出来ないが案外悪くはないかもしれない、なんて思ってしまった。