*白夜ルート
裏切り者、と。マークス兄さんの声が頭の中に響く。何故暗夜王国を裏切ったのか。
どうして一緒に育った兄弟を捨てて、記憶にない者達を選んだのか。レオンさんの冷たい声が耳の奥で反復する。
悲しそうなカミラ姉さんと今にも泣き出しそうなエリーゼさんの顔が過ぎった。私のことを大切に思ってくれていた、大切な人たち。
家族だった。本当に大切な、心から敬愛する、自慢の兄弟。それでも私は彼らより、血の繋がった兄弟の手を取った。
お父様――暗夜王ガロンに、愛されていないことを、利用されていたことを知ったから。結果的に、実の母を殺めることになってしまった。贖罪の為にも、私は白夜王国から、二国を平和に導く。
その結果、兄さん達と戦わなくてはならないとしても、だ。
私の臣下と義理の兄弟達がいてくれるから、外に出られない暗夜王国での生活も、寂しくはありませんでした。もう戻れない日々なのだけれど、平和になった世界で、またいつか笑い合えたら、と願うほどに。
頻繁に、夢に見るのだ。兄さん達を裏切ったあの日のことを。自分で選んだ道なのに、簡単には割り切れないらしい。
「ジョーカーさん」
「はい」
「いつかマークス兄さん達を殺さなければならない日が来るかもしれない、そう思うと不安に押しつぶされそうで……でもあなたが傍にいてくださると、それだけで少し落ち着くんです」
だからこれからも傍にいてくれますか。
暗夜王国の執事である彼にとって残酷なお願いだと頭では理解しているけれど。
「仰せのままに」
それでも彼は頷き、笑みを浮かべた。