*透魔ルート後
透魔王国の女王、なんて白夜王国も暗夜王国も敵に回してしまい孤立してしまったあの頃からは想像できない立場になってしまったと思う。
白夜王国のリョウマ、暗夜王国のマークスのような立派な王になれるかはまだ少し不安が残るけれど、この国はきっと素晴らしい国へしてみせると誓った。
二人の兄を敵に回したときも味方でいてくれたジョーカーには感謝してもしきれない。彼がいなければここへ辿り着く前に諦めていただろう。
だからこそ、そんな彼とこれからも生きたいと、そう思ったのだ。
「ジョーカーさんは、私が女王となっても、私の夫でいてくれますか?」
「……質問の意味が分かりかねますが」
「私はもう一国の女王です。私と結婚するということは、きっと、ジョーカーさんにもつらい道を歩んでもらうこともあると思います」
「貴女が執事としてではなく人生の伴侶として傍に置いてくださったあの日から――いえ、幼少の頃貴女が手を差し伸べてくださったあのときから、貴女と共に歩む覚悟は出来ています」
たとえそれがどんなに険しい道でも、この身を焼かれるような苦痛を伴うとしても、と彼はいう。
女王との結婚、なんて流石に躊躇されてもおかしくはない。北の城塞から殆ど出たこともなかった、王族とはいえ上に兄も姉もいて王位継承とは無縁だと思っていたあの頃とは違うのだ。
彼がやはり夫として支えるより執事として仕えたいというのなら引き止めるつもりはなかったが、どうやら愚問だったらしい。
「しかし、王族としての振る舞いにはなかなか慣れそうにありませんね……」
「ジョーカーさんなら大丈夫ですよ。……私も、すぐには女王らしくはなれないと思いますけど」
この人が生涯傍にいてくれるのならば、どんなに苦しい道も怖くはないと思った。