煌びやかな日々へ

*透魔ルート後
*ジョカムの息子のディーアとジョーカーの話

「マジかよ……」

 母であるカムイが透魔王国の女王となった。それ自体は喜ばしいことなのだと思う。カムイが女王となった透魔王国はきっと白夜王国とも暗夜王国とも良好な関係を築けるだろう。
 しかし、だ。カムイとその夫、ジョーカーが透魔王国の王族ということは自分は透魔王国の王子ということになる。それも、長男であるから王位継承権第一位、つまり第一王子だ。
 王位継承などに関してはあまり興味のないディーアであるが流石に今まで通り執事のようなことをして、昼寝して、という生活は出来ないのだろう。
 王子、なんてよく分からないが面倒臭そうだと思った。第二王子となった弟のカンナは、そんなこと考えたこともないのかもしれないけれど。

「……まあ、母さんのほうが大変なんだろうけど」

 母親の幼少期なんて詳しくは知らないが昔――と言っても初めて暗夜王国を出るまで、北の城塞と呼ばれる場所で幽閉されて育ったと聞いたことがある。
 暗夜王国の兄弟や使用人、つまりディーアの父親でもあるジョーカー達が一緒だったから寂しくなかったとは言っていたが、そんな状況に置かれていた王女様が今や一国の女王なのだ。元々王族であるとはいえ、苦労しない筈がない。
 まあ、執事でありながら主と結婚し、王族となった父にも言える話なのだが。

「なんだ、ディーア。ジロジロ見やがって」
「…………父さんが王族って似合わないな」
「その台詞、そっくりそのまま返してやる」

 見慣れた服装ではなく、新しい透魔城で働くようになった使用人が用意した王族らしい豪華な装飾が施された服を着せられた父と子。お互いに似合わないと思う。
 落ち着かない。王族として過ごすより自分には執事として生活するほうが向いているような気がする。とはいえ、女王である母親を支えたいと思う気持ちはあるのだが。

「だが、王族の立場でも俺のやることは変わらない」

 父親も、自分も、王族という立場には慣れないけれど、心は何も変わらない。