(2)
「もっしーギアッチョ!」
「何がもっしーだ!テメェどこにいやがるッ!」
「それがさぁ〜」
携帯から聞こえる間延びした声。
こっちが騒ぎを聞いて駆けつけてみりゃ松葉杖だけ路上にある。
聞き込みで近くの店に入れば『ニンジャ』がどうたら。
そいつは店に戻ってくると言っていたらしいが、なかなか来ねぇ。
「あぁ、イラつくぜ」
「え?ギアッチョ心配してくれてたの?ヤッダー!愛されてる俺ッ!」
「…」
「すいませんスタンド発動止めてください」
「分かってんなら……たっく。せっかく良いところだったのによぉ」
「ナンパか!」
「お前の頭が難破してんだな分かった」
耳元で喚くメローネにイラつきが増す。
ちらりと目的の場所に視線をやるともう演奏は終わり、演奏者は周囲の賛美を軽く流しながら此方に向かって歩いていた。
手には携帯。彼女も会話中のようだ。
などと観察していると、耳元から聞こえた言葉に思わず叫んでしまった。
「「ハァ?!漏らした!!?」」
「え゛…」
「あ゛ぁ?」
目が合っちまった。
「じゃあそっちに行く。…うん。また後でね満夜」
「クソッ!靴のサイズ分かんねえぞ!…チッ、わぁったよ持ってく」
通話を終え前を向く。
「あの」
「…何か用か?」
「私の親友がさっき人を助けたんですよ。ロングヘアーの、松葉杖を突いていた人」
「…」
「今、私達が滞在してるホテルから、その親友が無事連絡くれたんですけど」
「あぁ」
「その男の知り合いが靴を持ってくる予定なので、私も一緒にこっちに来て欲しいそうなんです。貴方がメローネさんの知り合いですか?」
「…あぁ」
いつの間にか向かいに座り小声で話すその女を、メローネから聞いた恩人の連れだなと確認しながら返事する。
「なら、行きますか?」
「あぁ…って」
女が振り向いた先には沢山の荷物。
「マジかよ」
この瞬間。俺の目的に、メローネぶん殴るが追加された。
(今日はめんどくせえ日になりそうだクソックソッ!)
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