(2)
「こんな感じでいいかな?」
店から出てきた満夜は紙袋を5つ軽々と持ち上げ、いい汗をかいていた。
彼女が急いで入った店は改装後のセールの最中だったようで、値引きされた商品の値段と品質に感動した満夜は、メローネの服だけでなく渚沙と自分の服も購入したのだった。
(人に服買うってセンス問われるよなぁ〜…)
サイズは大きい物を買ったが、合わなかったら我慢してもらおう。
歴史ある街並みに浮かれ、服の他にも菓子や雑貨を見て回った彼女は大荷物。
日本人である満夜の笑顔を見て付け入る隙があると判断したのか。
近所のカフェのテラス席や人通りの少ない路地からはナンパ目的に声を掛けようとする輩もいた。
しかし、そんなことに気づかない満夜はスタンド能力で勢いよく走り出し、結果的に逃げおおせていた。
(渚沙誘ってまた来ようっと!)
「ただいま戻りました」
「おかえぇええ!?」
「あはは…ちょっと買いすぎちゃいました。安いからって自分達の分も買っちゃったんです」
「あ、そう。──そんなに大荷物なのに軽々持ってるから驚いてさ」
「人数分に分けただけなので軽いですよ?ちょっとかさばってますけど」
(スタンドでズルしてるのもあるけど)
その言葉にメローネは首を傾げた。
何故なら袋はメローネ、満夜、彼女の連れ(渚沙)の分の3つではなく。
「5つもあるけど?」
「あぁ、それはメローネさんの靴を持ってきて下さる方に渡すやつで。服買ったのと同じお店のマフラーと、お菓子の詰め合わせです。もう一つ小さいサイズの袋は雑貨として置いてあった手鏡で、日本の友人にお土産です」
「そんなことしなくていいんだぜ。こっちが迷惑かけてんのにさ」
「いえいえ、私の親友の渚沙も連れて来て下さるみたいですし。此方の都合含めてわざわざホテルに来て下さるんだから、感謝の気持ちとして渡そうかと思って」
「ふーん」
日本人は律儀だということを聞いたことがあったメローネは、それ以上満夜の行動を止めなかった。
(まぁ、包まれてから開封された後も無いし大丈夫だろう。暢気な恩人を不快な気持ちにさせたくないしな)
ちなみに満夜は。
(暗チ!暗チ!誰来るのかな?)
テンションが上がっていた。
そのテンションのままメローネを風呂場に運び入れ、脱衣所に彼用に買ってきた服を置いておく。
彼の体調が不安で提案した風呂の介助は断られたが、満夜が扉越しに時々安否確認をすると冗談めかして返事をしてくれるくらいには心を開いてくれたようだ。
そして数十分後。髪を乾かし終え服を着たメローネと満夜のいる部屋に、来客を知らせるノックが響いた。
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