(5)



ぐい、と口を拭うギアッチョの反応。
今は落ち着きを取り戻しているが、自分が話しかけてから彼の様子がおかしいのは満夜も気づいていた。

(私結構空気読めないからな…他人がいるから落ち着かないのかな?暗殺者だし仲間しか信用していないのかも…)

「ごめんなさい。ギアッチョさん」
「?」
「私がいるとゆっくりできないですよね」
「ア゛?」
「もう一回渚沙とメローネさんのとこに行ってますね」
「お、おい!」

それじゃあと続く言葉は出なかった。
なんとギアッチョが満夜の手首を掴んだからだ。

「ちょっと待て」
「は、はい…」

無言で何かを探るように彼女を見つめるギアッチョに、満夜は動揺を隠せない。

(うおわぁああギアッチョに触られてるよ今ッ!なんてこった最高だよ神様ありがとう!!でも何で掴まれてんの?あれか背中ベタベタ触りやがってこのビチグソ女ー!みたいな?!)

※脳内絶叫この間2.0秒

このままブチ割られるの?と別の意味で心臓が早鐘を打つが、とりあえず彼女はゆっくりと尋ねた。

「何でしょうか、ギアッチョさん」
「……っ、あのよぉ」
「?」
「おm」
「「二人ともお待たせー!!」」
「「…」」






お い タ イ ミ ン グ 。









「あれぇ〜?」
「何してたの〜?二人してぇ〜?」

ギアッチョが満夜の手首を掴んでいるのを見て、揶揄うように話しかけてきた二人。

「いつもより磨きがかかってウゼェ」
「い、言い方…。休憩してたんだよ。そんで、私がもう一回二人に合流しようとしたんだけど、行き違いになったら危ないからここで待ってろってギアッチョさんが。確かに土地勘無いのに無闇に動き回ったら危険ですもんね」
「…あぁ」
「「ふーん」」

説明の中に適当に誤魔化しを入れるが、二人はにやにやしたまま。
なんだコイツ等。いつの間にそんな仲良くなったんだよ。
命の危険だったかもしれなかったんだぞと思いながら、満夜は目の前の友人に呆れた。

(まったく呑気しちゃってさ)

「渚沙は何か良いものあった?」
「うん!イメージに沿うものもあったしメローネさんおもしろいし、なかなか良かったから少し買っちゃった」
「よかったね」
「うん!」
「ミツヤの服も俺が選んであげようかぁ〜?」

メローネの誘いに悩む。
家族と渚沙以外の誰かに洋服を選んでもらったことは無く。
しかも"原作"の服を知っている満夜は、ぶっちゃけ不安だった。

(でも、さっきから善意で誘ってくれてるんだろうしなぁ)

そうではないと、自分の居ない間に渚沙はベイビィ・フェイスの餌食になっていただろう。
満夜がスタンド使いだからというのも親友が無事な要因の一つかもしれないが。

「ミツヤ?」
「メローネさん」
「うん?」
「私は家族と、親友の渚沙以外に洋服を選んでもらったことがありません。誘いは嬉しいんですけど…」
「けど…?」
「は、恥ずかしいなって思って」

でもそんなことを本人に言えるわけも無く。満夜は日本での自分の生活のことについて触れる。
これも本当のことなので嘘ではない。

(なんだこの羞恥プレイ)

彼女は自分の顔が赤くなるのが分かり、隠すように俯き目を逸らした。




「…ベネ」
「へ?」
「ベリッシモいいねその表情!興奮しちゃうよ!大丈夫ミツヤをどっかの商売女みたいな下品な格好になんてしないから!そうだなぁミツヤはどんな格好が好き?パンツ?スカート?」
「え!?あの、ちょっ」
carinoかわいい!全身コーディネートしちゃってさ、フィレンツェの街並みを一緒に歩かないか?もう!さっき助けてくれた時はヒーローみたいにかっこよかったのに今はまさにVergine inesperta」
「「変態ィッ!!」」
「グベァッ!!」

テンションが上がり早口になるメローネに着いていけずにいると、突然隣にいたギアッチョと渚沙がキレてメローネに殴る蹴るの暴行を始めた。

「どうしたの二人とも?!」
「いやちょっと色魔の除霊を」
「ポックリ逝かさせてやろうと」
「除くほうが違うーッ!!メローネさん死んじゃうから!」
「大丈夫だ。ほら」
「ディモールトいいぞ!良い拳とビンタだ!」
「ホントだ」

ギアッチョが示した先には倒れつつも元気にサムズアップしたメローネが。

「え?なら…いいかな?あ、さっきメローネさん後半何て言って」
「「知らなくていい!!」」
「は、はい…」

(二人とも仲良いな…)

少々もやっとする満夜だった。



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