(6)
「ここでは渚沙スペシャルルールで行くぞ!」
「おー!」
「で?ルールって?」
「その1!低予算でお願いいたします」
「低姿勢?!」
「その2!テーマを決めてコーディネートしてください!」
「めんどくせぇな…」
「その3!女の子らしい服を選んでください!よってパンツスタイル禁止!」
「えーーっ!?」
「ノーパン?」
「違ぇよお前じゃねぇんだから」
「そうなのっ?!」
「はいバトル開始ィッ!」
「聞いて!?」
モデルである満夜の声を無視し、戦いの火蓋は切って落とされた。
(メローネさん…ちゃんと下着買ってきたのに…)
先程満夜が訪れた店舗2階の女性服置き場。
満夜の服と靴のサイズだけ教えられたメローネとギアッチョの二人は、とりあえず陳列された洋服を片っ端から見ていた。
「ん?今なんか言った?」
「言ってねぇ」
「ふ〜ん。誰かが俺の噂をしているな」
「ノーパン仮面ってか?」
「お前だったのか」
「違ぇよ」
「あー。どうしようかなぁ」
「……まぁ、好みが分からない以上勘頼みだろ」
エキセントリックな色合いのシャツを持つメローネを不審な目で見ながら、ギアッチョも洋服を探す。
本人がいたら、どんな格好にされてしまうのか不安になりそうな光景だ。
「う〜ん…それもそうなんだけど」
「あ゛ぁ?」
煮え切らない態度に手を止めるギアッチョ。
彼は優柔不断な言動が嫌いだ。
何か言いづらそうな様子を見せる同僚に、無言で続きを促す。
メローネは罪の告白をするように、秘密の暴露を行うようにギアッチョに告げた。
「アンタ、ミツヤちゃんのこと《良い》なぁ〜って思ってるだろ。男女のアレで」
「ハァアアアアアアッ!?」
店員の咳払いも掻き消される音量で叫ばれ、メローネは耳を塞いだ。
「だって、ギアッチョ普段ならもう俺回収してアジトに帰ってんじゃん。礼とか無視で」
「俺だってたまには気分転換くらいすんだよ!」
「オレの恩人ってだけであんなに世話焼くか?しかもスタンド使いだぜ?」
この短気な、しかし頭の回転が速い男が。観光客の女相手に。
ペッシが来た時なんてすぐ教育係放棄したくせにと続けるが、中々認めようとしない。
「テメェはすぐ誰某をくっつけようとしやがって!教育係も相性があるってリーダーが」
「ふ〜ん…なら、あの子はギアッチョと相性が《良い》んだ」
メローネの浮かべていた笑みが消える。
冷たい雰囲気を纏った彼の顔つきは、仕事時のそれになっていた。
「…ベイビィは必要ねえ。何かあれば始末は」
「できるの?」
その問いを鼻で笑いながら、ギアッチョはマネキンの服に目を留めた。
店員に聞き、彼女と同じサイズの服を手に取る。
「やけに突っかかってくんじゃねぇか」
「純粋に心配してるだけさ」
「フン。自分の心配しやがれ」
既に考えは決まっているのだろう。
それだけ言うと、ギアッチョはさっさと背を向けて立ち去った。
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