少年A
「はぁ…」
オレは一人、塔の近くの木の上で黄昏ていた。
遠くを見つめたまま動かない。頭の中では、幼い日の約束がグルグルと浮かんでいた。
どっちが最初に魔法帝になるかの競争。
夢を叶えるために、周りの人間に馬鹿にされても魔法が使えなくても歯をくいしばって耐えてきた。
努力してきた。
(魔法のセンスが無いとはわかってたけど、まさか魔導書がもらえないほどとは)
「シノブさんもびっくりしてたな…ユノと魔法騎士団入るのかな?」
「すぐ追いついてみせるから待ってろ!オレははオマエのライバルだからな!」
「…ありえねー…!」
(ユノ…がっかりさせたのか?)
「いやいや!誰が諦めるか!みくびるなよ運命めぇええ!待ってろよユノぉぉぉ!もう一年でも二年でも魔導書もらえるまで励んでやるよコノヤローォォオ!!」
有言実行。気合いを入れ直していると。
「ん?あれは─…」
眼下にライバルであるユノの姿が。
(もう授与式終わったのにどうしたんだ?)
どうせ教会に帰ったってユノの魔導書授与のお祝いだ。準備だってあるだろう。
暇だし気分が乗らなかったオレは、こっそり着いていくことにした。