少年Y
納得がいかなかった。
同じように捨てられ、境遇や寝食を共にしたライバルに、何故魔導書が与えられなかったのか。
「私も行くよ。私がアスタ君の魔導書取っちゃったのかもしれないから。授与式のやり直しさせてくれないか頼んでみよう。探せば他に魔導書あるかもしれないし!」
「…貴女は」
「うん?」
「その魔導書が無くてもいいんですか?」
「まぁ、無くても生きていけるし。でも二人の夢に魔導書は必要な物でしょう?」
「…」
「頑張ってる奴が報われないなんて、納得できないしさ」
苛立っていた。
教会の孤児や努力家の友に対する世間の仕打ちに。
そして、最初から夢を馬鹿にせず、自分とアスタを応援してくれている彼女を恨んでしまったことに。
魔導書は授与された者しか使えない。
その真実を話さなかった、己自身に対しても。
「…」
「おやおや?今日の主役がいつまでも居残ってちゃいけないなァ〜?」
身体をそちらに向けるとほぼ同時に、魔法で創られた鎖で拘束される。
「……!」
「創成魔法"魔縛鉄鎖陣"─捕らえた者の魔力と動きを封じる」
「何だ…?オマエは…」
「以前は"鎖魔法のレブチ"と名を知られていたんだが…今はしがない盗賊さ」
表情に酷薄さを滲ませた男が、こちらを見ている。
傍らに浮かぶ魔導書から、魔法が発動していることにオレは気づいた。
「魔導書を使えるのは選ばれた本人だけ…だが…四つ葉の魔導書は闇のコレクターにとんでもない高値をつけられている!七つ葉はそれ以上だ!!」
攻撃の際に落とした魔導書を拾い上げ、嬉しそうに語る男。
幾重にも巻き付けられた鎖は解けない。
「四つ葉に選ばれたといえど、授与された直後はただのヒヨッ子…残念だったな。君の伝説は始まる前に終わりだ」
身動きの取れないオレに対し、男が自身の魔導書で攻撃をしようとページを捲っていると。
「待てぇぇえええええええええええええい!!」
アスタが転がってきて壁にぶつかった。