(7)
「で?何欲しい?」「無計画ーーーっ!!?」
「男はな、大抵ノリと勢いで動くモンなんだよ」
「誇りと根性と意地くらい残しといてくださいよ…」
「お、良い事言うじゃねえか」
マーケット通りをのんびりと歩く三人。
予定は未定なため、通る店を冷やかしてばかりになっていた。
「じゃあ、教会の子供達に幾つかお土産を」
「アンタのは?」
「え?」
「自分のもちゃんと買わねえと、周りって気にするもんなんだぜ?」
「…確かにマグナは任務の後、全員分土産買ってくるよな」
「へぇえ〜!マメなんですね、マグナさん」
「なっ…!?尊敬するヤミさんに献上するついでッス!ついで!」
三人寄れば文殊の知恵。子供達への土産はすぐ決まり、偲の手には何種類かの焼き菓子が入った箱が二つ。
「皆喜んでくれるといいな」
「……」
「さぁ、アンタの番だ。好きなもの言って良いぞ。予算の範囲内ならな」
「倹約家?」
「いや、オレの酒代」
「正直ィッ!」
「服は?光り物は?」
「ぶっちゃけ言うと両方欲しい」
「お前も正直だな」
(あと下着がマジで欲しい。切実に)
「でも、お世話になってるのに自分だけ贅沢はできません」
「じゃあ魔法騎士団に入れば?そしたら自分の好きなもん買えるだろ」
「うーん………軽い気持ちで入っても使い物にならないでしょう。"此処"に一本通るものが無いと」
胸の谷間から下腹部まで、身体の中心を縦断させるように彼女は指差した。
「……まあ、その前に試験があるけどな」
「うわぁ。勉強嫌いです」
「魔法を使う試験だよ。マホー」
「魔導書で魔法使ったことないです」
「え?」
「マジで?」
「はい。あ、嘘。この前初めて使いました。でも日常生活に支障無いし…しかも何かこれ得体がしれないし」
「うーん…自衛の為にも呪文幾つか覚えといた方が良いッスよ。七つ葉は有名だし、今のアンタ裏家業の奴等に狙われたら一発でアウトだぜ?」
「げっ!?」
「その世話になってる所やら子供達を護れるくらいにはなっとけば?」
「そう、します」
「うっし!ならオレから詫びの品は…これだな!」
そう言ったマグナは、近くの露店の商人に声を掛け商品を購入した。
手渡されたのは彫り物がされている男物のバングルだ。細かい意匠と嵌められた赤石の輝きに偲は驚いた。
「わぁっ!かっこいい!」
「へへっ!中々オレもいいセンスしてるだろう?」
「うん!ありがとうマグナさん!でも、どうしてこれを?」
「これは護身用の魔道具で、赤石に一つだけ好きな魔法を込めておくと、魔導書を使わなくても魔法が使えるんだ!」
「へぇえ〜!凄いねそれ!」
「子供をおつかいに出すときなんか、よく使うらしいぜ!」
「って、子供扱いかーい!」
「はっはっはっはっ!」
早速左腕に嵌めた偲はいろいろな角度から、笑顔でそれを眺めている。
「でも気に入った!大切に使うね!」
「アザースッ!」
「女にアクセサリー贈るとは、やるなぁマグナ」
「え゛?!いやっ、それは!」
「決めるの早ぇな…どうすっかなぁ…」
姉弟のようにはしゃぐその様子を見ていたヤミは、早くに自分の番が来てしまい困った。自称筆頭舎弟はどんな凄いものが出てくるか期待しているし、偲も最初よりも期待してヤミの様子を見ている。
「かなり歩くが…いいか?」
「門限までに生きて帰れれば」
「いやどんな場所だよ」
マグナがツッコミを入れつつ、三人は町外れを歩き出した。
「ヤミさぁ〜ん!何処まで行くんスかぁ〜?」
「今回はここいら辺りのはず…お、あったあった」
着いたのは寂れた暗い通り路。
ヤミが先導して進むと、日の光が遮られ更に暗くなる。
「足元気をつけろよ」
「はい…。きゃっ!?」
返事をした途端、通路に沿うようにあったらしい松明が一斉に着き、中が明るくなった。