04
「団員は他にもいるが、今は任務に行ってたり休暇中だったりサボったりしてる。テキトーに仲良くなっとけ」
「ハイ!めっちゃ仲良くなります!」
「オマエ背の高さと声のデカさが反比例してるな」
「ふふっ…」
元気よくドヤ顔で返事したアスタにクスリと笑う偲。
(コミュニケーション能力高いなぁ、アスタ君は)
「ハージって…あの最果ての小さな町の…?」
反省のためか正座している、先程まで酔っていた美女が反応した。
「最果て出身で魔法騎士団に入るどなんて…頑張ったのね坊や。ご褒美にオネーサンがイイコトしてあげましょうかぁ〜?」
「よろしくお願いされてええええええ!けどオレにはシスターという心に決めた人がぁああ!」
《美人だぁ…いいなアスタ君。クソッ男に産まれたかった!》
《お前…》
「うぷ、オェエエエエッ!」
「ぎゃああああ!?」
「うわっ、スコージファイ!エバネスコ!…大丈夫ですか?」
偲は羽織っていた打ち掛けを彼女の肩に掛ける。
「アグアメンティ…はい、お水飲みます?」
「あ、ありが…ウオェェエ!」
背中を擦りながら世話を焼いていると、いつの間にかアスタが騎士団のローブを賭けて洗礼の儀を受けることになっていた。
「まぁーたありもしない洗礼の儀が始まったよ」
「面白いからいーじゃん♪」
「あ、そうなんですか?」
「えぇ。何か男と男の勝負的な?」
「へぇ〜…男の人ってそういうところありますよね。見てる分は楽しそうでいいですけど」
「じゃあ君は僕が相手しようか?」
「え?!あ〜…今後前向きに検討します?」
「あははははっ!」
他の団員と話していると、アスタの元気な声が聞こえてきた。
「行くぞォーー!魔導書構えろクソチビーー!」
「いらっしゃいませ先輩ィィイイ!!」
「始まるかな?頑張れアスタ君ーーッ!」
「おー!」
「死ねぇぇぇえええッ!!!」
両者の魔導書が開き、お互いの魔法が展開された。
ヤミの筆頭舎弟を名乗るマグナ・スウィングが、掌から炎魔法"爆殺轟炎魔球"を出し、アスタに向かい野球のピッチャーのように投球した。
魔法を切り裂いて防ごうと思っていたアスタは、自分に向かってくるそれの勢いを見て気づいた。
このままでは間に合わない。
(あ、死んだ)
よしんば剣で魔法を斬れたとしても、割れた攻撃を食らってしまう。
限界を知った時、思考は止まる。
だが、しかし、身体は諦めていなかった。日頃鍛え抜いた身体の超反応。
その最後の悪足掻き。それが活路を切り開いた。
振り抜く剣の腹で魔法を跳ね返したのだ。
跳ね返した魔法は、勢いはそのまま一直線に術者本人へと向かい、爆発した。
(新入団員を助けずに済んだのは久々だな…)
(剣刃に当てることは不可能でも、剣脊に当てることは可能だったか─…あの剣…剣刃は魔法を切り裂き、剣脊は魔法を跳ね返す)
(知らなかったァァーー!!つか死ぬところだったァーー!!あぶねぇぇえ!何考えてんだあの人ォォ新入団員いきなり殺す気か─!?てゆーかあの人が死んだんじゃ)
「コンチキショーがァァ〜〜」
「あ、マグナさん無事だ」
「ぇぇぇえええ!?」
「もうちょいで自分の魔法で死ぬところだったじゃねーかァァ〜〜〜てンめぇ〜〜」
立ち上がったマグナは叫んだ。
「やるじゃねーかァァアア!!!!」
「え」
「オレの魔法を防ぐどころか跳ね返してくるとはなァァ!!気に入ったぜチビスタぁーー!!」
「アスタっす〜!」
親しげに背中を叩かれながらアスタは名乗る。
「実はオレも田舎出身なんだわ!ハージ村の少し上のラヤカ村!」
「うおーマジすか!めちゃめちゃ田舎じゃないスか!」
「お前にだけは言われたくねー!」
二人は内輪ネタで盛り上がった。