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 くったりとソファに体を預けて目を閉じる。柔らかな暗闇が眼前に広がって、ほうっと息をついた私に、隣で同じようにもたれかかっていたビリーが、「ため息?」と言葉を投げかけてくる。
「ううん、一息ついたの」
「ふぅん……」
 アンニュイな相槌にしばし沈黙が横たわる。穏やかで優しい静寂に、尚更体の力が抜けていくのを感じながら、「ねえ、」と声を発した。
「……」
「なあに、どうしたのマスター」
 何も考えていなかった、と緩慢に頭を回して、どうにか浮かんだ言葉を口にする。
「ココア淹れるって言ったら、飲む?」