第15話 『秘密の特訓』




元気ですかー??!!
バリバリ元気な名前ちゃんです♪

そんな私にも好きな人がいます。
まさか、自分があの方を好きになるなんて夢にも思ってませんでした。

冷たいし、すぐムチがでてくるし、怖いし、すぐムチがでてくるし。
でも、根は優しい人?なのかな、なんて。
すぐムチがでてくるけど。

部下を信頼してるし、信頼されてるし。
すぐムチがでてくるけど。(←いい加減しつこい)

顔も良ければ声もスタイルも良し。
これでムチがでてこなければ言うことなしだね☆

私の好きな人お察しいただけました?
はい、もちろんアヤナミさんでっす♪

え?
無謀だなって?
やだな、アヤナミさんは参謀だよ☆
ま、今はとりあえず側にいれたらいっかな。って感じで……
ただ今、アヤナミさんの横をゲットし、座って書類書いてます!


「…邪魔だ。自分の机に戻れ。」


はい、この通り、まだまだツレないですけどね。

数日前、『アヤナミ様のこと好きなの?』というクロユリによる爆弾発言があったけど、アヤナミさんもあれから何も言ってこないし、みんなも別に触れてこない。
私も「好きです」なんて言うつもりない。
だってフラれるの目に見えてるんだもん。

それに、今は忙しいし。


「あれ?あだ名たんから血の匂いがする…かな?」


でたよ。
無駄に鋭い男がでたよ。っていうか、人の匂い嗅ぐなよ。
ホント変態だな。


「暑苦しいのでくっつかないで下さいます??」

「暑いならもうちょっと冷房効かせる?」

「そういうことじゃなくて…。」


冷房はちょっと寒いくらいだ。


「気のせいかと思ったけど、やっぱりあだ名たん血の匂いするー。どっか怪我した?」

「してませんけど…」


どうしてこうもこの男は勘がいいのか。

そう、ここ数日私は誰にも内緒で一人、自室のお風呂場で特訓をしてる。
指先を少し斬ってから血の刀を創りだし、それにザイフォンを加えて血の刀を強くする特訓。
特訓し始めてまだ5日しか経ってないから、まだ全然ダメだけど。

血の刀を作り出せば、ザイフォンが発動してくれないし、かといってザイフォンを発動させると血の刀がただの血に戻る。

…難しい。


「なんで血の匂いがあだ名たんからするのかなー?」


この男、もしかして気づいて言ってるのかな。
ま、どちらにしてもここでばれる訳にはいかないんだから!


「…お…こ…、ひ…だから。」

「ん?」

「女の子の日だから!!」


あながち嘘ではない。
昨日から始まったんだから。

大きな声で叫んで自分の机に戻ろうとすると、赤い顔して「何を叫んでるんですか。」と言いたげな目をしているコナツと、「ねーハルセ。女の子の日ってなぁに?」というクロユリが視界に入った。


「えー。でもあだ名たん。今月、一週間近くくるの早くない?」


なんであんたが私の生理周期知ってんだよ!!
そうだよ!
予定では一週間後だったよ!


「一週間もずれて大丈夫なの?」

「一週間ぐらいならまだ平気。これ以上ずれるとダメだけど。」


女の子は大変なのですよ。
だから労われ!
ったく、なんで男のヒュウガとこんな話しなきゃなんないのよ。


「…なら、いいけど……」


サングラスの奥で光る鋭い瞳。
ヒュウガ…なんとなく気づいてるみたいね。
厄介なヤツ。




***




本日の仕事も終わり。
自室の鍵は閉めた。
脱衣所の鍵も閉めた。

よし!

服を着たままお風呂場へ入る。
さすがに制服を汚してはまずいから、とりあえず私服で。

最初は自分で指を傷つけるのも怖かったけど、やっぱり慣れというか、今ではもうナイフで躊躇いもなく切ることができる。
もちろん、痛い事には変わりないが…。

果物ナイフで右手の人差し指をスッと切る。
滲み出る紅い血に集中し、刀を創り出せば指先の痛みは消えた。
治ったわけではないのだが、能力を使っている間は痛くないのだ。

この血の刀を振り回すことができるほどお風呂場は広くない。
だからここでできることをする。

刀にザイフォンを…その瞬間、血が力なく下に零れた。


「…はぁ。」


シャワーで汚れた血を流す。
失敗したときのためにお風呂場は最適だ。
こうやってシャワーで流せば痕跡も残らない。


「…できないなぁー。」


才能がないのかも。
血の無駄遣いのおかげでここ最近貧血。
その上生理も早まるし、最悪だ。
化粧で顔色の悪さを隠してはいるが、倒れないようにしなければ。


「どうやったら…できるようになるんだろ……」

「そうだねぇ、ザイフォンの力に耐え切れなくて刀が血に戻ってるみたいだから、もう少しザイフォンを弱めてみたら?」

「そっかぁ………」


………え?
あの、どうやって入ってきたんですか?


「ヒュウガ少佐…、私鍵閉めたと思うんだけど。」


浴槽の淵に座ってにこやかにこちらをみていた。
こんなに近くまできてるのに、気づきもしなかった。


「オレにしたら鍵なんてあってもなくても一緒だよ☆頑張ってるみたいだねー。……アヤたんに内緒で。」


っぐ!
今の言葉私のガラスの心に刺さったよ!!


「諦めたと思ってたんだけどなぁ〜。」

「ヒュウガも…私がザイフォン使うのイヤ?」

「うんにゃ。いーんじゃない?強くなって損はないよ。だからオレはあだ名たんの味方♪」


でもねぇ…と続けるヒュウガ。


「こんなに顔色悪いのに…ムリしちゃだめだよ。」


私の左頬にヒュウガの大きな手が触れた。
優しい口調なのに、どこか怖く感じる。
いつもと違う、ヒュウガ。


「…ご、めん……」

「オレは別に怒ってるわけじゃないからね。心配してるんだよ♪だから、『ごめん』じゃヘンだよ。」


左頬に添えられていた手が私の髪を一房とり、ヒュウガの目の前まで持っていく。


「じゃぁ、ありがとう…。」

「いーえ♪♪」


そのままチュッとリップノイズをたてて、私の髪にキスをした。


「っ!な、なな、何してっ?!」

「んー?何って…ちゅーだけど?あ、それともここにして欲しかった?」


いやらしく私の唇に人差し指をくっつけてきた。
ヒュウガの人差し指が私の唇をなぞるように動く。
そのせいでしゃべれないし、動けない。

そんな私を見てヒュウガは気をよくしたのか、私の腰に腕を回し、体をくっつけさせた。


「寝よっか?」


この男は何を言ってるのだろう。
まったくわけが分からない。
私はここで特訓していたはずなのに、なぜヒュウガに抱きしめられているのか…


「ヒュ、ウガ…私、特訓中だし…」


やっと出てきた言葉はあまり役には立たないようだ。


「そうだねぇ。でも今日はゆっくり休んだほうがいいと思うなぁ。もし頑張りすぎて倒れたりしたらアヤたんに怪しまれるかもよ?」


…この人は、上手いなぁ。
そうだね、今日はもう休もうかなって気にさせてくれる。


「ザイフォンをもうちょっとコントロールしてあげれば刀と融合できると思うよ。あとは頑張った努力の分だけ強くなるから♪」

「…うん。わかった。ありがとね、ヒュウガ。アヤナミさんには内緒ね。」

「内緒。男女の秘密ってなんかヤらしいね〜。」


ヤらしいのはあんたの脳だけだよ!


「もうでてけ!」

「いやん♪


この日から、たまにヒュウガがザイフォンを教えてくれる事になった。


「師匠と呼んでくれてもいいよ☆」

「…死んでもヤだ。」

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