第21話 『偉そうなハゲ』
痛みが引くまでアヤナミさんからお仕事禁止令がでてしまった私は、一度元の世界へきていた。
最初は「怪我が完治するまで」といわれていたが、貫通している怪我が治るのに時間が掛かりすぎて仕事が何十日もできなくなるため、無理やり「痛みが引くまで」と懇願して懇願して懇願して懇願してやっと頷いてくれたのだ。
「いたたたた…」
包帯を巻いたままとりあえず必要なものをバックの中に詰め込んでいく。
郵便物もチェックして、メールや電話も確認しておかなければ…
といっても、ほとんどないに等しいのだが、友人からのメールは数件きていて、どれも1ヶ月以上前のものばかりだった。
返事を返さなければ切れてしまうような友人関係。
そんなものどうでもいいとばかりにケータイをベッドの上に放り投げる。
新聞はとっていないし、届いているのは電気や水道の支払いの封筒。
これもまた、まったく使っていないから基本料金で済んでいる。
その中に一枚のはがきが交じっていた。
「…成人式?」
言われてみると、来年は成人式だった…
***
「ただいまー!」
絶好調☆とはいかないが、幸運よろしく本日はハルセさんに受け止めてもらった。
荷物はヒュウガが受け止めている。
「おかえりなさい、名前さん。」
「きゃっほう!」
「なんだその気色の悪い奇声は。」
アヤナミさん、気色悪くはないでしょ?
「いやぁ〜こっちのほうが落ち着くなぁと思って。」
「それならそうと奇声ではなく言葉で話せ。」
相変わらずツッコミが厳しいぜ☆
「あらよっと」
ハルセさんの腕から降りてアヤナミさんの前までトコトコと歩いていくと、立ち止まった。
「ただいまかえりましたぁ!」
「…少しは声のボリュームを抑えろ。」
「アイアイサー!」
……で、ところで…
「さっきから気になってたんだけど…」
ヒュウガの横のイスに縄で縛りつけられているそのヒト…
「誰?」
「あれー?覚えてないの?」
「だって私、波平さんみたいな頭の方にお知り合いは……」
近づいてよくよく見てみる。
「……あー。」
あいつだ。
やっとわかった。
私を戦場に置いていきやがったゲス野郎。
で、なんで波平さんスタイルになってるんですか?
頭だけ。
「ふごーっ!ふごふごごごふご!!」
口にまでガムテープを張られているためしゃべれないらしい。
なんとも憐れな。
ま、ざまーみろ。だけどね。
「ヒュウガが波平さんカットにしたの?」
「見つけてきてくれたのはアヤたんだけどね♪」
でもヒュウガがしたんだ。
見事なほどにフサフサだった頭がてっぺんと横の髪以外を残しツルツルに刈ってある。
「よく見つけましたね。」
ペシペシとツルツルの部分を叩きながらアヤナミさんに話しかける。
「あたりまえだ。」
「さっすがぁ!我等がアヤナミ様♪」
「ふごごふごふーーー!!」
「…うるさいので少し静かにしてください。」
コナツが男に冷たい目線を送る。
ひょー!
こえ〜!!
コナツこえーよ!!
そんな目線送られた日には私再起不能になりそうだわぁ。
「あのねーボクが縛ったんだよ!!」
わークロユリ君。
可愛い顔して言うこと大人だなぁ〜
「上手だねー」
「でしょー!絶対逃げれないんだ。」
小悪魔じゃ…
この子は小悪魔じゃ……
「ふごふご…」
男は私に話しかけたいらしく、私に目線を向けてきた。
「何?」
ベリッと思い切りガムテープを剥がしてやると、ヒリヒリと痛そうな赤い痕が口のまわりについた。
「ぷっ。」
ついつい吹き出してしまう。
これでも一応押さえたのだけれど。
「笑うな!!くそ…いつかお前も同じ目にあわせてふごふご!!」
お話の途中にまたガムテープをくっつける。
聞くだけ時間の無駄ってヤツだ。
「うるさいねー」
「うるさいねぇ…。ヒュウガ、まだ刈るやつ持ってる?」
「バリカン?持ってるよ。あれれ?まだ刈っちゃう??」
「いやん♪刈っちゃう♪♪」
だってまだ怒ってるんだもん。
「あだ名たん、全部?」
「もちろんツルツルのピカピカに☆しちゃえー!!」
「いえーい!」
………
なんっつうか…
結論。
スキンヘッドの方が少しは男前だぜ☆
ていうかコレ、拉致監禁?!
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