第25話 『世界と世界の混血』



あの〜皆さん。
そろそろ戻りません??


一夜が明けました。
絶対カツラギ大佐心配してると思うんだよね。
だからさ


「いい加減帰りません??」

「え〜だってここ面白いしー。」


ソファの上でゴロゴロしているヒュウガ。
お前はただサボりたいだけだろーが、こんちくしょう!


「コナツ…」


コナツに同意を求める視線を送ってみる。


「たまにはいいかもしれませんね、こんな風にゆっくりと過ごすのも。」


チッ、使えねーな。


「アヤナミさんは……」

「そうだな。そろそろ戻らねば仕事も溜まっているかもしれぬ。」


そう!
さすがアヤナミさん!
察しが良くて助かります。


「だが。」


え?まだ何か??


「何故その鏡でこちらの世界とあちらの世界を行き来できるのかを調べたい。」


え…そんなのムリだよ。
どんなに考えてもわかんなかったんだから。
ただお母さんが大切にしていたってだけで…


「名前は気にならないのか?」


気にならないことはないよ。


「そりゃ少しは……でも、その鏡私が物心ついたときにはもうすでに大切そうに持ってたし…。」


そういえば、小さい頃聞いたことがある。
「どうしてその鏡を大切に持ってるの?」と。
確か答えは……


「魔法の鏡だから…」

「??何か思い出したの?」

「あ、うん。お母さんが確か昔そう言ってた。」

「魔法の鏡??」


だめだ、余計にわからなくなった。
魔法の鏡って何?!
そりゃ魔法みたいだけど…


「ねぇ名前。」


ずっと黙っていたクロユリが私を呼んだ。


「何?」

「どうして名前のお母さんはその鏡が魔法の鏡だって知ってるの??」


そう言われてハッとした。
確かにそうだ。
お母さんはこれが魔法の鏡だと知っていた??
ならお母さんはどこかにトリップしたことがあるのだろうか??
まだわからないこと尽くしだ。


「他に思い出すことはないのか?」

「はい、残念ながら…」


ダメだな。
考えすぎてまた知恵熱出そうかも。
とりあえず、喉が渇いたので何か飲み物を求めて私はキッチンへ足を向けた。




***




お風呂上りのおっさんのように腰に手をあててオレンジジュースを一気飲み。
やはりこの飲み方が一番おいしい。


「わー、名前可愛いー。」

「お母さんと瓜二つじゃん!!」

「ホントだ!」

「DNAを感じますね。」


リビングの方でなにやら騒がしい声が……って、ぎゃぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁ!!
見たら殺すっていったじゃん!
そんな凝視しないで!


「アルバムはヤメテー!」


幼児の頃とかおしりがプリって出てたりするからー!!
いやぁぁぁ!!


「あ、あだ名たんの入浴シーンみっけ☆わおセクシー。」

「見るな変態!」


これは3歳の時だったからまだいい方か。


「オレ今のあだ名たんの入浴シーン見てみたいな☆」

「訴えるぞ☆」


いや、冗談抜きで。
あ、その前にアヤナミさんにムチで叩かれてね。記憶が消えるくらい。
それから通報してあげよう。


「これは…家族全員で写ってる写真か??」


アルバムの中から一枚スルリと落ちた写真。
それを拾い上げたのはアヤナミさんだった。


「……」


なぜかその写真を見て動きが止まった。


「アヤたん??」

「そういうことか。」

「何が??」


ひょっこりとその写真を除き見る皆。
そしてその皆も固まった。
一体なんなんだ??
私もその写真を見てみるが別に変わっているところなど何一つ無い。


「ね、この写真がどうしたの?」

「あだ名たんって、オレらの世界とこっちの世界のハーフだね。」


は??
意味がわからないんですけど。


「数十年前、帝国の元帥の座についていた人間が急に行方不明になった。」


急にアヤナミさんが話し出した。
それと何の関係が??


「その人間は代々家宝として受け継がれていた鏡の欠片を持って消えたそうだ。その鏡は過去や未来へ行く事ができる鏡。」


…ふぇ??


「すみません、頭悪いんでもうちょっと分かりやすく…てか簡潔にどうぞ。」

「お前の父は私たちの世界の人間だ。」


父があっちの世界の人で母はこっちの世界の人。
あ、だからあっちの世界とこっちの世界のハーフなのね。
なーるほど……って、


「はぁぁぁ?!」

「事実だ。」

「この顔軍にいる人間だったら誰だって知ってるよ。一応元元帥だもん。」


父が元帥?!
頭の中が整理できないんですけど!!
これって頭が良いとか悪いとかそんな話じゃないですよね?!
あ、要領が悪いってコトになるのか??
って、そっちのほうがダメじゃん。

う゛あ゛――!!
頭がごちゃごちゃだ!!


「でっ、でもその鏡って過去とか未来にしか行けないんでしょ??でもこの鏡は別世界にいけるし、」


違うのでは??


「私は鏡の欠片と言ったはずだ。本来の鏡はもっと大きかったと耳にしている。恐らくそれは割れた破片の一部だろう。」

「過去と未来を行き来できる鏡が割れて、時間が歪みトリップできるようになったということでしょうか。」


コナツ、それってどうなの…??


「確か元元帥が行方不明になったのは21年前。」

「お母さん言ってた。お父さんと出逢ってすぐ結婚して、子供が出来たってわかったんだって。それが私。お母さんとお父さんの結婚記念日は…生きていたら今年で21回目。」

「これで計算が合ったな。」


マジですか…
私生粋の日本人だと思ってましたよ。
黒髪黒目の黄色人種だよ??
まんま日本人じゃんか。
お母さんの血が多かったのかなぁ…
パワフルな人だったからね。


「はぁ…」


ま、これで一応謎は全て解けた!!
じっちゃんの何かけて!あ、これは最初にいっておかないといけなかったんだ。




***




「ただいまーです。」


次は外に出たいと言い始めた皆を無視して無理やり戻ってきた。
外に出たい??
そんなのたまったもんじゃない。
こんなある意味コスプレ集団、親族に見られると困るってーの。

しかもクロユリ、『名前の困ることしないよ。』って天使の笑顔で言ったくせに一番我先に出たがって、言ってることとしてることが違うんですけど。
ということで、強制帰還ですっ☆


「疲れた…休みたい。」


小さく愚痴を洩らしてみる。


「おかえりなさい、名前さん。お仕事、溜まってますよ。」


…鬼だ。
何気にカツラギ大佐は鬼だ…
ニッコリ笑顔のくせに言うことは何気に鬼畜だよ…。
心身ともに疲れてる私にそんな言葉いらないっ(泣)


「頑張ってくださいね。」

「……はひ。」


コナツぅ、助け……


……はい、あっちの方が大変そうです☆


「わー見事な書類の山々…」

「少佐ぁぁあぁぁぁ!!どこに行ったんですか?!仕事してくださいー!!」


あぁ、帰ってきて早々このセリフ…
平和だなぁ……(コナツ以外。)
ヒュウガも逃げ足速いよ。


「ファイト、コナツ!負けるな、コナツ!!」

「そう思っているのなら手伝ってやったらどうだ?」

「……影ながら、応援してるぜ☆」


危ない危ない。
アヤナミさんの一言でまた仕事が増えるとこだったよ。

でもなんか鏡のことも正体分かってスッキリしたし、もりもり仕事したい気分かも!!


「アヤナミさん!仕事ください!!」

「お前の机の上に溜まってるその書類を処理してから大口叩け。」


……ですよね。
名前、頑張りまっす……


「あーシュウマイだぁ!」


やっぱこれ食べてから頑張る事にします。


「手作りですが、よければ召し上がってください。」

「いいの?!」


じゃぁ…お言葉に甘えて一つ……

えいっ。
上に乗っていたグリンピースを下に落としてシュウマイを指でつまんだ。

瞬間…


「好き嫌いはダメですよ。」

「でも…私がグリンピース嫌いって知ってますよね?」

「えぇ。でもダメですよ。何でもおいしくいただかなければ。」


いや、結構です…っていいたいところなんですけど…
やっぱりいただこうかなぁ……
横からすっごい「食べろ」オーラ出してるアヤナミさんがいるし…


「なんでグリンピースにしちゃったんですか?海老でもいいじゃないですか!」

「名前さんのグリンピース嫌いを克服させようと思いまして。」


嬉しくない。


「グリンピースには、リジンという必須アミノ酸が入っています。必須アミノ酸は人の体の中ではつくることができず、食物から摂取しなければいけないんです。特にリジンは疲労回復、集中力の向上、体の組織の修復などとても良い働きをしてくれるんですよ。」


……難しい。
もうちょっとゆっくり…


「わかりやすくいうとですね、グリンピースを食べなさい。ということなんです。」


それはすごくわかりやすいですね。
でも…ちょっと簡潔すぎやしませんか?!
ま、ここまで力説されたら…食べないわけにはいかないんだけどさ……


なんだか書類整理よりきついな。

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