06
「バカ!こ、こんなとこでダメだって!」
「いいじゃん、燃えるね!」
「バカバカ!やめてってば!もし誰か来たら、」
「気配でわかるって知ってるでしょ?だから大丈夫♪」
「そういう問題じゃ!」
「問題なんてないよ。あだ名たんが声を抑えればいいだけなんだから♪」
だからそれが問題なんだってばぁぁぁ!!!
「あだ名たん、あだ名たん、」
「はい。」
「今寝てたでしょ??」
「…あ、なんだ…ヒュウガか…よかった。」
どうやら眠っていたらしい。
書類に涎が垂れていないか心配だったが、大丈夫そうだ。
そして私は残業も免れたよう。
この場にアヤナミさんがいたら書類を増やされていたところだ。
お昼も過ぎ、アヤナミさんは一人、軍法会議へと赴いていった。
私はまたお留守番だ。
「あだ名たんのこの位置が一番日当たり良くて気持ちいいもんね。」
私はヒュウガの言葉に頷いて、転寝の時に床へ転がり落ちたのであろうペンを拾い上げた。
「大体ヒュウガが毎日のように私の部屋にくるから…。」
寝不足なのはヒュウガのせいなんだ。
カギをかけてもピッキングでいつの間にか入ってきているし、ドアの前に机やらクローゼットやら置いて扉が開かないようにバリケードを作っても、「これでよし!」と思ったら後ろにいたりとか…。
心臓に悪いったらありゃしない。
「ビックリしすぎて倒れたら恨んでやる。」
「そしたら王子様のキスで起こしてあげるよ☆」
「誰が王子様よ!この色魔!」
「え〜もうオレにはあだ名たんだけだよ?」
そりゃぁそうでしょうよ、毎日毎日まーいにち私のところに夜這いに来てるんだもん。
しかし、何だかんだいって流されてる私がいる。
何で流されるんだ?
そりゃぁ確かにヒュウガとの……ゴニョゴニョは気持ちいいけど…、
「ありがとうあだ名たん☆」
「は?何、急に。」
「口に出てたよ。」
「今すぐ後ろ向いて!後頭部殴って今の記憶忘れさせてやる!!」
バットはコナツさんから借りよう。
「あれ?そういえばコナツさんは?」
「……。」
「ヒュウガ?」
「…。さっき中庭に居たよ?そういえば言うの忘れてたけど、コナツがあだ名たん呼んでた。たまには中庭で休憩というのもいいですよ〜って。」
「へぇ〜中庭で休憩かぁ…それもいいかも。ちょうど3時だし、休憩しようかな。」
「いいと思う!オレも誘われてるから一緒に行こっか♪」
「うん。」
…何故あの時何の疑いもせずヒュウガについていったのか…。
私は中庭の人気がない場所で、ヒュウガに攻め寄られながらため息を吐いた。
少し頭を捻ればわかったことだ。
まず、コナツさんは?と聞いた時のあの間。
明らかに不審だったはずだ。
それにコナツさんはヒュウガを休憩に誘わない。
絶対「仕事してください!」と彼なら言っているだろう。
「騙したわね…。」
「なんか気持ちよさそうに眠ってるあだ名たんにこう…ムラムラっと。」
「ド変態。」
じりじりと後ろに後ずさると、終いには後ろの木に背中が触れ、逃げ場がなくなってしまった。
「さ、あだ名たん、休憩時間は有効に使おうね☆」
「ぜんっぜん有効活用してないから!!むしろ体力減るから!!」
ヒュウガは逃げ場のない私をいいことに、好き勝手するつもりらしい。
手始めはどうやらキスから。
「ン…」
こうして唇を重ねていると思う。
いや、感じる。
この人が私をどれだけ好きかどうか…。
切なくなるくらい、甘いキスだ。
私が絶対に嫌がるようなことはしない。
処女奪われた時は別物だけれど。
できるだけ気持ちよくなるように、すごく気を使ってくれているのがわかる。
初めて会ったときなんてキスもなしに始まろうとした情事。
廊下や執務室で襲われかけたときも、キスなんて存在しなかった。
それなのに、ヒュウガは…、
いつからだったっけ…。
キスが存在するようになったのは。
「ッ、は…」
「何考えてるの?」
「…ヒュウガとのキスのこと。」
「急に何?」
「キスしてこなかった人がなんで急にキスしてくるようになったのかなって。」
あぁ、そういえばキスが始まったのは『初めて』を捧げている最中だったっけ。
少しだけぎこちなくて、それでも優しいキスだった。
「オレ、好きな子とじゃないとキスしないの。」
「…それって、最初の頃は遊びだったって言ってるようなものよね。最低。」
「でも今は遊びじゃないよ?最初は確かに遊びだったけど、飴もらったくらいにちょっと魅かれて、抵抗される感じに興味もって、アヤたんと仲良しさんなところに嫉妬したら、好きになってただけだよ。」
それから坂を転がるように惹かれ続けていったのだと、彼は言った。
また口づけが落ちてきた。
啄ばむような口づけに酔いしれる。
しかし、私はそこでハッとした。
「ん、ヒュウガ…ここ、じゃダメ、声…でちゃう…。」
抵抗を始めたが、ヒュウガは肌蹴させた私の胸元に唇を滑らせ始めた。
そして軍服の中に手を入れ、全くまだ濡れていない秘部にヒュウガの手が触れた。
反射的に足を閉じようとしたが、ヒュウガの足が両太ももの間に入ってきて毎度の如く拒まれる。
「っぁ、ダメだって、ば…っは、ん、ぁっ、」
「そうそう、素直に喘いだほうが可愛いよ。」
イヤイヤと首を振るが、ヒュウガは尚も愛撫を続ける。
こんな昼間から、しかも人気のない場所とはいえど公共の場。
誰がいつ来ても何らおかしくはないのだ。
「あだ名たん、いつもよりドキドキしてる…。この状況に興奮してるの?」
「ッ、ば、か…ぁ、あっ、」
私はヒュウガの肩口に顔を埋めて、どうにか声を殺そうとする。
「オレは興奮するよ?声を押し殺そうとしてるあだ名たん、すごくイイ。」
この男の変態っぷりは天性のものだろう。
絶対そうだ。
ある意味才能だ。
絶対好きだなんていってやんない!
「こ、の…へんた、い…ッ、ぁ…」
グチュ…と秘部から音がする。
粘着質なこの音は耳障りなのに、羞恥を煽る。
それだけ感じているのだと、気持ちがいいのだと素直に語っているようなものだ。
口でいうことはなくても、体でこれだけ示しているのだから、ヒュウガは内心ほくそ笑んでいることだろう。
さぞ楽しかろうて。
「あだ名たん、キスしたい…。」
熱に浮かされたような甘い声に、私は顔を上げてヒュウガの唇に自分の唇を重ねた。
一瞬ヒュウガは驚いたようだったが、すぐに口内を攻め立てられ始めた。
舌を絡ませ、歯列をなぞられる。
その間も、秘部への愛撫が止まることはもちろんない。
少し上の突起を指で擦られれば、もう立っていられなくなりそうになる。
息をしたいのに、口づけられていて息ができない。
唯一幸いなのが、嬌声が外に漏れないことだ。
喘ぎ声一つ一つが喉の奥やヒュウガの口内へと消えてゆく。
ピチャピチャをいう水音が口からも秘部からも聞こえる。
それにさらに欲情したのか、ヒュウガが体をグッと私に密着させた時だった。
「少佐?そこで何を………」
……
世界が破滅したらいいと思った瞬間だった。
「な、な、な、何してるんですかっ?!?!」
顔を一瞬のうちに真っ赤にさせたコナツさんは、怒りからか恥ずかしさからかプルプルと震えていた。
「コナツ〜野暮だよ〜?」
唇が離れ、秘部から指が抜かれた。
私は急いでヒュウガの背後で身なりを整える。
もう最悪だ。
泣きたい。
泣かせてくれ。
「コナツは何しにここまで来たの?」
「少佐を探していたんです!と、ととりあえず先に戻っておきますから!」
コナツさんの去り際に、ふいに目があった。
思いっきり逸らされたけど。
今なら穴掘ってでもそこに入りたい。
これからどんな顔して話せばいいのよー!!
「ねぇ、」
コナツさんが去った後、打ちひしがれていた私はヒュウガを鋭く睨みつけた。
「気配でわかるんじゃなかったの?」
「…途中からあだ名たんに夢中になって気配読むの忘れてた☆どうする?続きする?」
怒りで震える私に、ヒュウガがサラッとのたまった。
「するわけないでしょ!!このバカヒュウガっっっ!!!!!」
- 6 -
back next
index