05



「暇だねぇ、どっか出かける?」

「んー?んー…」


ソファに座って適当にテレビのチャンネルを変えていたヒュウガは、面白いテレビがやっていなかったのかテレビを消すなり、ソファを背もたれにして床に座っている私に声をかけた。

私は暇なヒュウガと違って今時のファッション雑誌を見るので忙しいのだが、彼は暇で暇で仕方がないようで、私の肩を叩いてくる。


「オレより雑誌?」

「今はねー。」


適当に返事を返してパラリと雑誌を捲った。
ヒュウガは尚も面白くなさそうに私を見下ろしている。


「名前ー」

「んー?」

「ここからの角度だといい感じで胸元が見えるよ。」

「変態。」


クッションを左隣にいる彼の顔面に押し当てて、私はソファに座り直した。



彼と付き合い始めてもう1年以上経つ。

巡る四季の中で手を繋ぎ、キスをして、体だって繋げた。
今ではもう側にいることが当たり前と化して来ている今日この頃、母親に『今付き合っている人はどう?』と抽象的な質問をされた。

簡単に言ってしまえば、『今付き合ってる人と結婚の話とかでてないの?』というわけなのだが…。

結婚か。
彼と結婚するのは全く不足も問題もない。

あるのは私だ。

実は付き合って1年と半年ほどなのだが、私は未だに彼に『普通のOL』で通している。
打ち明けるタイミングを逃したというか、姉のいう臆病な自分に負けたというか。

とにかく、私にはあのアヤナミ参謀長官のべグライターになるという夢があるわけだし、今のところ一切考えていないわけではないのだけれど、いつか彼のお嫁さんになれたらいいなぁとは思う。


宙ぶらりんなこの状態がダメだということは理解しているのだけれど、彼の隣はあまりにも居心地が良すぎて動くに動けないのだ。


ソファに座りなおしてもなお、ファッション雑誌をめくる私に体を寄せてきたヒュウガ。

肩を抱き寄せられ、髪を指に絡められる。
かと思いきや行き成り首筋にキスを落としてた。

これには私の『暇ヒュウガ警報』が鳴らされる。

『暇ヒュウガ警報』とは暇なヒュウガが私に構ってとアピールしてくるにあたっての警報だ。
このときのヒュウガは決まって事に及びたがる。


「あのヒュウガさん、今私雑誌読んでるんですけど。」

「いいよ、読んでても。オレも好きにするから。」


腰や太ももを撫でられれば嫌でも意識は雑誌からそちらの方へいってしまう。
それをヒュウガはわかっててやってるのだから始末に悪い。


「集中できないからヤメテ。」

「だから集中してていいってば。」

「できるか。」

「ふ〜ん、もしかして集中できないくらいに感じてくれてるの?」

「か・ん・じ・て・ま・せ・ん!」


左太もも撫でていた手を軽く抓ってやり、ついでにそのまま足で蹴ってやった。
こんな昼間から盛ってなんてられるか、という思いを込めて蹴ったのに、彼はあろうことか私の足首を掴んで広げてきた。


「わぁっ!」


あまりの急な出来事に私は持っていた雑誌を床に落とし、体勢をソファの肘掛で整えるようとしたが、2人掛けのソファに体が斜めになっているこの状態でヒュウガが広げた私の足の間に体を入れてきた。

完璧事に及ぶ気だこの男。とジト目で睨む。
しかし彼はそんなこと気にも留めずに、私に覆いかぶさるとそのまま首筋に唇を這わせて、太ももや腰を撫で回し始めた。


「ちょっとヒュウガっ。まだ明るい!今何時だと思ってるのよ。」

「何時?」

「15時!」

「あ、ちょうどおやつの時間だねぇ。オレは名前食べることにするから気にせず食べていいよ。」

「食べれるわけないでしょ!」


って、そういう問題でもなーい!とツッコんでも彼は止まらない。
ついにはクチュ、と耳を舐められた。

耳たぶを唇で食んだと思ったらコリッと甘噛みされ、耳の中に舌を差し込まれる。
まるで情事中の水音のような錯覚に陥って、体が甘く震えた。

ロングスカートは腰元までたくし上げられ、下着の上から秘部を撫でられる。
人差し指と中指の腹でそこを擦られれば、それだけでじんわりと濡れてきているのが自分でも嫌なくらいわかったのに、彼は追い討ちをかけるように「濡れてきたね」と耳元で囁くものだから羞恥心が半端無い。


「こんなに濡れやすかったっけ?」


喉の奥でクスリと笑われる。

濡れ易い体にしたのはヒュウガでしょ、と羞恥で殴りたかったけれど、もうすでに思考の半分以上に快楽が染み渡ってきていて熱い吐息を吐き出すばかり。

もう昼間でも何でもいいや、とスイッチが入りそうになったその時、ヒュウガがパッと私の上から退けた。


「続きは夜ね♪」

「…へ?」


あまりにもマヌケな声だったと自分でも思う。
ヒュウガは「あ、もしかして期待しちゃった??」とにんまりと笑った。


この気まぐれ男め。
私で遊んだな。


「別に期待なんてしてませんー。」


フンッと顔を背けて冷めやらぬ体に気付かないフリをしながら、床に落ちた雑誌を広い上げようとすると、ヒュウガの嫌味なくらいに長い足がその雑誌を踏んだ。

どういうつもりだと睨みあげると、何食わぬ顔の彼。


「ちょっと。その邪魔な足退けてくれる?」

「ごめんごめん、長くてね。」


そう言いながら笑うヒュウガは一向に足を退かす気はないらしい。


「構ってもらえなかったからって雑誌に嫉妬なんてしないで下さーい。」

「嫉妬なんてしてないよ。名前こそ体疼いてるのに平気な顔してさ、構って欲しいなら構ってあげるよ?ん?」

「結構ですぅー別に期待してませんしー。それに疼いてなんてないですからー。」

「へぇ〜疼いてないんだ??じゃぁ確かめてみよっかな♪」


ヒュウガはそう言うなり、また私のスカートをたくし上げて下着に手を差し込み、秘部に指を一本挿れた。


「っ、ぁっ」

「あれ?濡れてるよ?」

「へ、んたいっ、」

「今更でしょ。」


彼の言葉に『確かに今更だわ』と内心頷いていると、スルリと下着だけを脱がされた。


「続きは夜じゃなかったっけ?」


意地悪く問えば、彼はにんまりと笑ってから私の腰を持ち上げた。


「もちろん夜もするよ。この続きをね♪」


ソファに座っているヒュウガに足を広げるような形で乗せられる。
それと同時に、すでにそそり立つヒュウガ自身を中に埋め込まれた。


「っ、ぁ、ぅ……」


自分の体重+ヒュウガの私の腰を掴む手が、反射的に逃げようとする私の腰をしっかりと掴んでいるうえに上から押さえつけてくるため、どんどんと中に入ってくる。

確かに濡れていたとはいえど、愛撫もそこそこなのに久しぶりに手荒い挿入だ。
それほど拗ねていたと言う事が今ありありとわかる。

大体入りきったかと思ったら、腰をグッと引き寄せられて更に奥に入り、私は少しだけ目を細めた。


「っ、は…ちょ〜っと荒いんじゃない?」

「たまにはイイでしょ?」


よくない、よくない。と顔を横に振ったのに、ヒュウガは何を考えているのか私の両手を自分の両肩にそれぞれ乗せた。


「…何。」

「動いていいよ。」

「結構です。」


元々私は乗り気じゃなかったんだ。
私から誘ったならまだしも動くなんて…、


「第三者から見たらさー、2人とも服乱れてないから何かただ名前がオレの上に座ってるみたいだよね。」


ロングスカートだから繋がってるの見えないし。と続けるヒュウガに私は眩暈がした。

何かわからないがこの服が乱れていないという状況にも興奮していらっしゃるようで。
理解できん。


私は早々に自分の中から彼を抜こうと体を浮かせたが、そんなことお見通しだったのか、彼はまた私の腰を掴んで下へ下へと押し付けてくる。

今度は中を掻き回すかのように腰を動かされ、私は気がついたら彼の肩口をギュッと握っていた。


「その気になってきた?」


その挑発的な口調に少し腹が立つが、今以上の快感を求めているのも事実で、私は自ら腰を動かしながらわざとヒュウガの肩に爪を立ててやった。


「っは、ぁ…、ん、ん、」


私が腰を動かすたびにヒュウガのが中で擦れ、深い挿入をすると奥に当たる。
それが気持ちよくて何度も何度も腰を打ち付けていたら、ヒュウガは私が律動をしやすいように腰に右手を添えてくれながら胸を揉み、口づけてきた。

その口づけに答えようとすると今度は律動が疎かになりがちになって、ヒュウガは痺れを切らしたのか繋がったまま私をソファに押し倒した。


「焦らすのは好きだけど、焦らされるのは好きじゃないんだよね、オレ。」


別に焦らしているつもりはなかったのだけれど、ヒュウガには焦らされているように感じたらしく、その反動のせいか激しく腰を打ち付けてきた。

自分で動いていた時とは全然違う快感に首を振って耐える。
あまりしない体位での行為にお互いに興奮していたのか、私達はすぐに絶頂を迎えた。


(もう一回いい?今度は立って後ろから…)
(体位の受付は残念ながら受け付けておりませんの。この変態)


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