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「大体ヒュウガ少佐はおバカなフリしすぎなんですよ!毎回毎回似たような領収書持って来て、本当はわかってるんでしょ?!?!」
賑やかな居酒屋での雰囲気にお酒も入り、いつもより饒舌になっている私を、隣に座っているヒュウガ少佐はカウンターに肘をついて楽しげにこちらを見ている。
何が楽しくていつもいつもそんなに笑っているのかさっぱりわからない。
今だって笑う要素なんてどこにもないだろう。
なのに今は特に楽しそうに笑っている。
…いや、酔っぱらってる私を見て面白がっているのか?!?!と想像が行き着いたところでヒュウガ少佐が口を開いた。
「そういう君はあんまりわかってないよね…。オレがなんで君ばっかり訪ねてるか。」
彼のやれやれといった表情を初めてみたような気がする。
しかし、すでに酔っぱらいと化している私には彼の言葉は届いているようで届いていなかった。
「同僚には『通い妻』なんて言われてるんですよ少佐!」
お酒を煽っていた彼がぶほっ。とタイミングよく噴いた。
私の分のおしぼりを渡してあげると、「通い妻って…」と苦笑いしながら彼はカウンターを拭いていく。
「あの泣く子も更に泣き喚くブラックホークの人間が、そんな噂されてもいいんですか?!?!」
「良いも何も、オレは全く気にしないけど。」
「私が気にするんです!おかげで経理部の女性陣には『通い妻がいるからね』って合コンにあんまり誘われなくなりましたし、男性陣も『付き合ってるんじゃないか』って噂されてますし。どうするんですか!今は経理部だけで留まってますけど軍内に広がったら、それこそ私彼氏出来にくくなるじゃないですか。ただでさえ社会人になったら職場以外での出会いなんて少ないのに。…もう、ヒュウガ少佐のせいなんですからね!ってことで飲みます!!」
どうせ奢りなんだ、あと2〜3杯くらい許されるはず。
「はいはい、好きなだけどうぞ。そろそろまずいと思ったら止めてあげるから、今度はお酒抜きでご飯行こうね♪」
「いいですけど…彼女とかいないんですか?怒られません??」
「いたら女の子誘って2人でご飯とか行かないよ☆」
「へぇ…見た目と違って真面目なんですね、意外です。」
「そんなこと言うのはこの口かなぁ〜♪」
「いひゃいです、しょうひゃ!!」
私の頬を軽く抓ったヒュウガ少佐は、やっぱりいつも以上に楽しそうだった。
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