魔法薬学の時間
呪文学の授業も終わり、次は魔法薬学の時間となりグリフィンドールとスリザリンの一年生は魔法薬学の教室へと集まった。
座席は綺麗に赤と緑で分かれており、ここでも新入生達の寮の仲の悪さが見て分かるだろう。
どんなことをやるのかとわくわくした表情の一年生がざわざわしている中、ドアを勢いよく開けて入って来たのは黒衣を身に纏った薬学教授、セブルス・スネイプだった。
「今年1年。このクラスでは魔法薬調剤の微妙な科学と厳密な芸術を学ぶ。杖を振り回すような馬鹿げた事はやらん。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん。フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管の中を這い巡る液体の繊細な力……」
コツコツと、教室内を歩く音のみが聞こえる静けさの中でジルはただじっと微笑みを浮かべてスネイプを見つめていた。
「心を惑わせ感覚を狂わせる魔力。諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。我輩が教えるのは名声を瓶詰し、栄光を醸造し、死にさえ蓋をする方法である」
心地のいいベルベットの声がふと途切れる。
「ポッター!アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じた物を加えると何になる?」
「……分かりません」
ポッターをいびるスネイプはとても嬉々としており、シェリルは小さく苦笑いを浮かべた。
過去を知っているだけあって、彼の行いを止めようとは思わないが。
憎しみと、愛しさ。
生き残った男の子に向けるその眼差しは、その子の後ろに他の『誰か』を見ていた。
「クラスに来る前に教科書を開いてみようとは思わなかったわけだな。ポッター、え?」
「ハーマイオニーが判っていると思いますから彼女に質問してみてはどうでしょう?」
ポッターの言葉にスネイプの眉間の皺が更に深くなる。
「……Ms.ウィンターソン、答えたまえ」
「はい、スネイプ教授。アスフォデルの球根の粉末にニガヨモギを煎じたものは、眠り薬になり、生ける屍の水薬とも呼ばれております。非常に危険な薬の為、使用する側もされる側も注意が必要になります」
「ではベゾアール石を見つけて来いと言われたら何処を探すかね?」
「ベゾアール石は山羊の胃から取り出す石であり、大抵の毒に対する解毒剤になります」
「……モンクスフードとウルフスベーンの違いは?」
「両方とも同じもので、別名アコナイトととも言い、マグルの間ではトリカブトと呼ばれる猛毒です。致死量は0.2g〜1gほどであり、経口摂取すると数十秒で呼吸困難や臓器不全などを引き起こす即効性があり、古来は鏃に塗るなどして軍事・狩猟目的で使われていました」
「よかろう。スリザリンに5点。……なぜ、諸君は今のを書きとらんのだね?」
慌てて書き取りを始める生徒たちを見てスネイプは鼻で笑った。
その後、おできを治す薬を作り、途中でグリフィンドールの生徒が薬を爆発させるなどハプニングも起きたが、特にシェリルが薬をかぶったりすること無く、初めての魔法薬学の授業は終わった。