屋内対人戦闘訓練
演習場に着くと、既にクラスのみんなは集合していた。
着いてすぐ、咲の横に居た緑谷に麗日が話しかける。
麗日さんすごい。あれで緑谷くんだってわかるんだ。二人、仲良いのかな。
咲が麗日の観察眼に感心していると、すぐ近くから視線を感じる。キョロ、とそちらに目を向けると、葡萄のゆるキャラマスコットのような出で立ちの小柄な誰かがそこに居た。咲自身も140cmとかなり小柄だが、マスコット「ゆるキャラぶどう」はその咲よりもかなり小さい。
その「ゆるキャラぶどう」は可愛げのある外見にそぐわない、舐めるような視線で咲の姿を見ていたが、胸元に視線が及ぶと、つまらなそうに舌打ちをし、そして何事もなかったかのように八百万さんへと視線を移した。
なんだコイツ。
オールマイトによる演習内容の説明を受け、全員がクジを引く。咲の引いたくじは「K」。周囲を見回して、チームメイトを探すが、どう言うわけか見当たらない。よくよく考えれば、クラスは全部で21人。二人一組のチームを作れば、10の組ができて、一人は必ず余るわけだ。
「先生…わたし、一人なんですけど…?」
「んん、君は羽生少女!おっとすまない!説明するのを忘れていた!!」
HAHAHAと豪快に笑い、額をペチッと叩いてみせるオールマイト。
「割り切れない人数なんでね!全チームの対戦が終わった後、余力のある者の中から改めて羽生少女のチームメイトと、対戦相手を再選するのさ!だから、ちょっと待っててくれるかな!人の戦闘の様子を見るのも立派な勉強さ!!」
力強いサムズアップと供に、笑ってみせるオールマイトに、咲が「はぁ、そうですか」と薄い反応と返事を返すと、オールマイトは
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20人、10組の演習が終わり、いよいよ咲の演習が始まる。参加を名乗り出たのは、
飯田、轟、障子、蛙吹、常闇、峰田、八百万の8人だった。
その8人が改めてクジを引いた結果、飯田、障子が赤、蛙吹が黒の札を引き、他の5人は真っ白の空札だった。
「んん、それでは、ヒーローチーム飯田、障子ペアVSヴィランチーム羽生、蛙吹ペア!!!」
オールマイトによる発表を受け、ペタペタと咲に近づいてきたのは艶やかな長い黒髪と大きな瞳が印象的な、小柄な女の子。
「咲ちゃん、よろしくね」
「蛙吹さん、こちらこそよろしく!」
「梅雨ちゃんと呼んで」
「わぁ、いいの?つ、梅雨ちゃん!頑張ろうね!」
「ええ」
和気藹々とお花でも飛びそうな雰囲気で作戦会議を始めるヴィランチームの一方で、激しい身振り手振りと供に何かを話す飯田と、それを静かに聞いている障子のヒーローチーム。
少し離れたところでその二組を見比べていたクラスメイトは素直な感想を口にする。
「なんか…でっかいのVSちっこいのみたくなってっけど…」
切島の言葉に周囲の皆も大きく頷く。
実際、ヒーローチームの障子はクラス1の高身長であり、189cm。飯田も179cmで、クラスでは4番目に高身長だ。
一方でヴィランチームは蛙吹が150cm、さらに羽生に至ってはそれを下回る140cmである。峰田を除けば、クラス1、2位の身長だ。
「しかもデカイ方がヒーローで、小さい方がヴィランなのな…」
「ちょ、絵面やばいって!ウケる!」
瀬呂がうーんと気まずそうに笑いながら顎に手を当てる横で、上鳴はゲラゲラと笑っている。
「立て籠もるミニマムズに、攻め入るデカ男…」
「なんといいますか…組み合わせの妙とはいえ、小さい子をいじめているようですわね」
女子の方では耳郎と八百万からそんな会話が聞こえてくる。
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